Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

性懲りもなく、また ―アルマイトの栞 vol.200

文学全集を揃える趣味は全く無いけれど、河出書房新社が刊行を開始した『日本文学全集』の第一回配本となる池澤夏樹訳『古事記 』に手を出してしまったから、この先が不安で、刊行予定を見ると、町田康訳『宇治拾遺物語』だの、いとうせいこう訳『曾根崎心中』だの、円城塔訳『雨月物語』だの、川上未映子訳『たけくらべ』だの、自分の興味を惹かないわけがなく、だが延々と追い掛け続けたら全30巻にも及び、訳者を選択基準にすれば「全巻購入」の危険を回避できそうなのに、文学全集に付きモノの「月報」の執筆者まで誘惑のタネとなり、『古事記』の月報が京極夏彦さんだったりするから、もうイケナイ。

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同好かどうか ―アルマイトの栞 vol.199

友人や初対面の舞踏家と喋っていたら、自分を含めた三人全員が「高校生の時に稲垣足穂にハマった」と共通の過去を告白し、珍しいことだと驚き合ったものの、舞踏だとかの世界に踏み込むような者ばかりが顔を揃えたのだから、「さもありなん」と考えるべきで、お互いに驚き合ったり喜ぶのは、高校時代に共通の趣味の友人を見付けられなかったトラウマのせいだと思う。いま自分が所有してる足穂作品は、ちくま文庫の『一千一秒物語 』を第1巻とする『稲垣足穂コレクション』だが、高校時代は別の版を所有し、共通の趣味の友人を作ろうと同級生に貸したら本は消え、同好の友人も出来ず、それはそれは悲しい話だ。

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乱れ打つ人々 ―アルマイトの栞 vol.198

東京ドームだとか巨大なアリーナ施設が年越しのカウントダウンライヴの会場に選ばれるものだとばかり思っていたので、「寺」は盲点だった。自分のウカツさを猛反省せねばなるまい。寺の境内でカウントダウンライヴを開催してはいけない理由など無いのであって、ウカツな自分を嘲笑うかのように、境内には大小様々な和太鼓がセッティングされており、しかし、その和太鼓の前に並べられた60センチ四方くらいの三枚の板の用途は謎だったが、ライヴのスタートと同時に、板の上で三人が激しいタップダンスを始めた。和太鼓とタップダンスのコラボである。その脇で除夜の鐘が鳴る。前衛的な打楽器アンサンブルに違いない。

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南を揃えていく ―アルマイトの栞 vol.197

2015年もTetra Logic Studioを宜しくお願いします。どう考えても早々に二月の寒さだとしか思えず、ただでさえ寒いのは苦手なのに、大晦日に近づくほど自分は冬眠モードに陥りがちとなり、このままホンモノの二月に突入したらドンナ極寒が来るのかと脅え、どこか南国へ逃げたいのは山々だが、悲しいほど逃走資金が無く、自分に残された手段は大音量で南米の音楽を聴くことくらいなので、自室のCD棚から「セニョール・ココナッツ」のアルバム『プレイズ・クラフトワーク』を探し出した。ドイツのテクノバンド「クラフトワーク」の硬質な楽曲を軒並みラテン・アレンジでカヴァーした驚愕の一枚は、サンティアゴでの制作だ。もう気分はチリである。

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茫然とする ―アルマイトの栞 vol.196

ふと手に取った千葉雅也さんの『別のしかたで 』は、副題に「ツイッター哲学」と記されているから、Twitterに関する哲学的な論考だろうかと思って本を開くと、奇妙に長い目次のような文字群が先ず目に入り、パラパラと目次を眺めるつもりでページを繰ると、何やら様子がヘンなので、あらためてページを凝視したら、千葉雅也さんのツイートだけが並んでいる本だと判って驚いた。驚きながら目にしたツイート「今日の夕食、とんかつ屋でメインのとんかつに手を付ける直前に、豚汁と漬け物とご飯だけをちょっと頂いてみた短い時間がとても幸福だった。」は、まるで尾崎放哉の自由律俳句かとも思い、ワケの判らぬまま読み耽ってしまった。

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