同好かどうか ―アルマイトの栞 vol.199
友人や初対面の舞踏家と喋っていたら、自分を含めた三人全員が「高校生の時に稲垣足穂にハマった」と共通の過去を告白し、珍しいことだと驚き合ったものの、舞踏だとかの世界に踏み込むような者ばかりが顔を揃えたのだから、「さもありなん」と考えるべきで、お互いに驚き合ったり喜ぶのは、高校時代に共通の趣味の友人を見付けられなかったトラウマのせいだと思う。いま自分が所有してる足穂作品は、ちくま文庫の『一千一秒物語 』を第1巻とする『稲垣足穂コレクション』だが、高校時代は別の版を所有し、共通の趣味の友人を作ろうと同級生に貸したら本は消え、同好の友人も出来ず、それはそれは悲しい話だ。