気になる他人 ―アルマイトの栞 vol.209
様々な職業や経歴を持つ人々の「語り」を聴き集めて著書を出し続けている社会学者の岸政彦さんの最新刊『断片的なものの社会学 』は、やはり「路上でギターを弾く80歳のおっちゃん」だとか「香港の刑務所で10年を過ごした日本人の元・ヤクザ」だとか、相当に様々過ぎる人々から当人の「生活史」を聴き、それらの「語り」をそのままの口調で文字に記すスタイルだけれど、本書で岸政彦さん本人が告白するところによれば、「語りを聴く」のみならず、ネットを徘徊しては未知の人々のブログやらTwitterを読んで回ることにも耽溺しているのだそうで、取材対象の誰よりも、先ず岸政彦さん本人が最も不可思議な人だ。