Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

会話の身体 ―アルマイトの栞 vol.20

子どもの頃から社交辞令的な会話が苦手である。いや、社交辞令的な会話に長けた子どもなんて可愛げがない。子どもは天衣無縫で好いのだ。「どんなかんじにする?」と尋ねる床屋のおじさんに「ウルトラマンみたくして」と云っても許されるのである。モヒカン刈りだよ、それ。大人は云わないほうが好い。人は成長の過程でいつしか社交辞令的な会話や振る舞いを身に付けるのである。しかし、どうも自分はそれを身に付け損なった気がする。

さほど面識の無い、会えば会釈をする程度の間柄の人から「暑いですねえ」などと云われる。そこで素直に「そうですね、蒸しますね」とでも返せば好いものを、そのコトバがすぐに出ないのである。「そんなに暑いかな」とか思ってしまうのだ。子どもだったら「ウチはボーナスでクーラーを新品にしたよ」と口走っても許されるだろう。だがこちらはもう30代半ば過ぎである。そんな非礼な返事も出来ないではないか。となると、一瞬口ごもって「暑いですね」とか云って会釈をしたり精一杯の作り笑いなどをすることになる。なんでもっと自然に出来ないのか。

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備品には予備 ―アルマイトの栞 vol.19

いろいろ事務的な仕事もあるので、銀行だの郵便局だのにも行かなければならない。いずれも徒歩10分圏内なので、散歩気分で出掛けるのが常である。大抵はそのついでに何か個人的な買い物をしたり、行きつけのカフェで珈琲を飲んだりして戻って来る。出掛ける前に用事の確認をして、時にはメモなどを書いて、抜かりの無いように出掛けるわけである。今日はプリンタのブラックインクが切れてしまったが、ここでも抜かりは無い。予備のカートリッジはまだ二つある。「さすがだ」と自分を褒めてみたりする。そして郵便局をはじめとして幾つかの用をするべく出掛けたのである。

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音楽媒体はどこへいく? ―アルマイトの栞 Vol.18

CDが聴けない。突然なのだが。オーディオの調子が悪いのである。今に始まったことではなく、もう一年近く前からだ。購入して10年ほど経つコンポだから、そろそろ寿命なのかもしれない。そもそもこのオーディオの調子じたいが悪くなったのはもう何年も前からだ。一番最初はMDデッキの様子がおかしくなった。その次はカセットテープである。過去に自分で作った曲のデモテープをMDにまとめようとしたら双方が完全にイカレてしまったのだ。

随分と時間を掛けてシンセサイザーで打ち込んだ自分の曲が、もう聴けないのである。MDデッキはディスクを認識しない。カセットデッキに至っては、僕のデモテープを呑み込んだまま開かない。オーディオの電源を入れる度に中でカセットテープが外に出ようと数回暴れるのだが、デッキはそのテープをくわえ込んだままである。こんな状態がもう数年は続いている。

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河童の劇場 ―アルマイトの栞 vol.17

「河童の劇場」である。何がって、それは「アルマイトの栞」のvol.16を見てください。学生が選んだのは芥川龍之介の『河童』だったのである。意外だったなあ。絶対に『銀河鉄道の夜』に向かうだろうと思っていたのに。まあ『銀河鉄道』は読者にかなりの想像力を要求するからね。その種の「力」があまり無い人にとっては『河童』の方が読みやすかったのかもしれない。それでともかく、『河童』を上演する空間を考えなければいけないわけだ。

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