気になる登場人物 ―アルマイトの栞 vol.102
たかだか180ページ程度の薄い文庫本を、どうかと思うほど時間を掛けて読んだ。いつ自宅の書棚に現れたのか定かでないマイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』を、なんとなく鞄に入れたのは、たぶん今年の初めだ。半村良さん公式ツイッターのための半村作品読破作業や、それ以外の「読まなければいけない本」「読まなくてもいい本」の併読に紛れて、驚くほどノロノロと読んでいた。この本も、とくにいま読む必要はないが、なぜかそう云うものに限って熟読する自分である。本を持たずに出掛けた先で時間潰しに迫られると、珈琲店のレシートすら熟読してしまい、釣り銭をくれた店員の担当者番号に見入ったりする。十ケタの数字だ。総勢で十億人規模の店員が居るのだろうか。