長さと数 ―アルマイトの栞 vol.151
ページ数の少ない文庫本で目次の項目数が無闇に多かったり、その逆に、ページ数の多いわりに目次の項目数が少ない文庫本は、何か不可思議である。その点で微妙な気分になるのは、岩波文庫に在る哲学者ベルクソンの『笑い』だ。225ページで厚さ8ミリなのは、文庫本として薄いとも厚いとも云えない。その目次は「序」と「附録」に三つの章が挟まれるだけだが、第一章のみ、四つの小見出しが付されている。妙にアンバランスな目次構成だ。その奇妙な第一章でベルクソンは語る。「人は半分毛の刈ってある犬に笑いを催す」。いきなりな話だ。己の哲学のために、勝手に近所の犬の毛を刈ったのではあるまいな、ベルクソンは。