Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

向島の難易度 ―アルマイトの栞 vol.85

町工場 向島界隈の町工場をウロウロ歩いた。鈴木一琥さんの町工場ダンス企画『すみだフリオコシ』の「ロケハン」みたいなもので、一琥さん達と一緒に幾つかの町工場に御挨拶をしたわけだが、最初に訪れた金型製作所で目が丸くなってしまった。入り口の上部に突き出た庇の先端、つまり「鼻隠し」に「水切り」の段差があるのはともかく、そこに平然と屋号が大書されている。このレタリングは難易度が高いですよ。当然、手描きである。文字が段差の部分で途切れることなく、直角に折れ曲がって連続している。几帳面である。向島の町工場地帯に足を踏み入れるやいなや、いきなり高度な技術の職人集団から「甘く見るなよ」と啖呵を切られた思いだ。

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21世紀に劇場を語るその2 ―発見する場所15

つくらない時代からこそ、新しくつくるものはクリエイティブでなくてはならないし、生み出すという視点をより深めなくてはならない。

坂口、浦部、竹本が委員として参加している日本建築学会文化施設小委員会企画編集の「劇場空間への誘い」(日本建築学会編 鹿島出版会 2010.10)が10月7日頃に書店に並びます。先月富山大学で行われた文化施設小委員会主催の日本建築学会大会のPD「創造都市時代における新しい公共空間の可能性」に続いて、文化施設小委員会としても劇場空間の新たな方向性を見いだす目玉プロジェクトの一つである。個人的にも昨年企画に関わった「建築ノートEXTRA2」も含めた、劇場を都市の公共空間と捉えて、その可能性と計画論を考える一連の機会としても刺激的であった。

本書の内容は、歴史、実践、未来像の3つのフェーズに分かれている。
第一章は、日本の劇場の機能、デザイン、思想の歴史的な系譜とその意義を劇場計画者、プロデューサー、建築評論家、文化政策の研究者が鋭く切り込む。
第二章は、興味深い劇場プロジェクトを手がける設計者、計画者の論考と、先駆的な公共劇場を劇場研究者のケーススタディー。
第三章は劇場空間の新たな領域とその可能性を建築家、アーティスト、プロデューサーのインタビューや劇場技術、現代演劇、都市と劇場に関するの論考と若手研究者による劇場空間の新たな戦略とデザインの可能性を考える座談会。
そしてこの三つの柱に加えて、劇場年表、創造活動拠点の取材レポート、劇場を語る参考文献リストも掲載されています。
坂口、浦部は本書の企画編集に加えて幾つかの論考の執筆やインタビュー、そして座談会にも参加しています。

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