Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

どこまでも暫定的 ―アルマイトの栞 vol.126

具体的にどうするか全く目算も無いまま、昨年の春頃に漠然と思い立ち、映像作家の大津伴絵さんと一緒に撮り溜めた半村良さん関連の映像を、ともかくも25分ほどの長さに編集してまとめた。大津さんと編集作業を進めつつ、仕上がる映像を見るたびに、「このシーンはもう少し手を加えたい」などと二人揃って口走り、放っておくといつまでも完成しない雰囲気なので、暫定版と呼ぶことにして作業に区切りを付けようと云う話になった。その暫定版に、よせばいいのに、また二人で手を加えた。暫定版2である。前の版よりホンの少しではあるが、質が上がった。すると、さらに欲をかく二人だ。暫定版3。ろくなものではない。二人揃って「大きい方のツヅラ」を選ぶタワケ者だ。

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相手になる話 ―アルマイトの栞 vol.125

英語であれ、日本語であれ、言語を外国語として習得するならば、「会話」は確かに有効な手段である。そのような「会話」の相手役を、月に1、2回で好いからやって欲しいと知人から頼まれた。そのくらいの頻度なら、まあ構わないかと思って引き受けた。引き受けて、気付いた。何を会話すれば好いのだ。「さあ会話しましょう」などと始まる会話を経験したことがない。そもそも他人同士の会話において、話が初めから終わりまで噛み合い続けることなど、ない。もしそんな状況があるとすれば、それは虚構の世界だ。いっそのこと、吉田戦車さんの『伝染るんです。』を台本にして会話するのはどうか。登場人物たちの会話は常にすれ違うが、じつのところ、日常会話とはそんなものだ。

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