そうなった真相 ―アルマイトの栞 vol.153
古書店の棚に、古い『チェスの本』を見付け、本の内容よりも表紙の写真が気になり、手に取って、立ち見した。「この様子は難解なゲーム展開なのだろうか」と思い、表紙の写真を眺めたが、自分のアタマでは即座に理解が出来ず、白と黒のどちらが優勢なのかすら、よく判らない。「家で考えよう」。それだけの動機で、本を買った。表紙の写真は、裏表紙の一部分まで回り込みながら左綴じに続くので、自宅で本のカバーを外して拡げ、あらためて写真を見つめた。ジッと見つめるほどに、何か不可解な印象がアタマの中を横切り始め、数十秒後に、それは疑念となった。「駒の配置がデタラメだったりしないか」。