Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

向島の日常と電圧 ―アルマイトの栞 vol.87

鈴木一琥さんの町工場ダンス企画『すみだフリオコシ』の第一回収録が終わった。それにしても町工場はいきなり人を驚かせる。金型工場の、通りに面したガラスの引き戸を開けて一歩踏み込んだ目の前に、出し抜けに「200V」だ。何が飛び出すか知れたものではない。200Vは、スタンガンよりも遙かに低い電圧だが、とは云え無闇に身近にあれば確かに危険である。危険ではあるが、個人的にはこの種のサインやピクトグラムが大好きで、この「感電注意」のピクトは本でも見かけるが、これほど間近に見たのは初めてかも知れず、それはそれで嬉しい。「注意」以前に、「この人」はとっくに感電している。

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知名度シャッフル ―アルマイトの栞 vol.86

作家の半村良さんに関わる仕事が本格的に動きだし、半村さんの著作権継承者であるKさんのお宅に頻繁に伺っている。半村作品を読むことも継続中である。『不可触領域 』の次に読んだのは『産霊山秘録(むすびのやまひろく) 』で、その次に『石の血脈』を読み、今さらながら半村良さんの伝奇SFにのめり込んでいる。小学生の時に『戦国自衛隊 』を読んだのは、それが映画化されて作品の知名度が世間一般に高まり、TVでも予告編が流れ、その映像が子ども心に衝撃的だったからだ。しかし、それきり半村作品は殆ど読まずに通り過ぎた。子どもの頃から「歴史の謎」みたいな話題が大好きな自分としては、通り過ぎたことが不思議である。「半村良」の名前は憶えていたし、角川文庫だった頃の『石の血脈』の背表紙を書店で見てもいたが、違う作家の作品だと思い込んだ。失礼なヤツである。

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