五十音 ―アルマイトの栞 vol.142
書店で、作家名の五十音順に本を並べている光景は珍しくなく、その場合に見かけるのは「あ:芥川龍之介」で始まるような並び方だ。海外作家だと、「ア:アーヴィング」から始まるような感じだと思う。作家名の五十音順とは、大抵そのようなことになるのだと信じ込んでいたから、『私が選ぶ国書刊行会の3冊 国書刊行会40周年記念小冊子』の巻末に付された索引に驚いた。それは五十音順に並んだ国書刊行会の出版目録なのだが、最初に名前の出て来る著者が「アレイスター・クロウリー」である。『麻薬常用者の日記』とか『霊視と幻聴』などを書いた、20世紀初頭の「魔術師」だ。五十音順で魔術師がトップになる図書目録を、他に知らない。