Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

送る方法 ―アルマイトの栞 vol.147

今年で9回目になる鈴木一琥さんのダンス公演『3.10 10万人のことば』の舞台照明を、またTetra Logic Studioが担当するわけで、この公演の照明担当は今年で4回目になり、好い意味で少しは「慣れ」があってもイイのではないかと思うが、どうも回を重ねるほどにアタマを悩ます度合いの強くなる照明課題で、その原因は「一度使った『手』は使わない」と勝手に決めている自分自身だ。文句を云うなら自分に云うしかない。それに加えて今年は、1月初旬から2月末まで鈴木一琥さん本人が国内に居ない。どこか異国の地で踊っていて、本番一週間前までダンサー不在の緊張感も「漏れなく当たる!」だ。いつ応募したのか。

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売りに行く ―アルマイトの栞 vol.146

自宅の本を少し処分しようと考え、資源ゴミでも好いのだが、ふと思い立ち、近所の新古書店に持ち込んでみた。買い取り価格に期待などしなかったが、大型の紙袋一つにギッチリと詰め込む冊数だ。売れた。売れたが、その帰りに煙草を一箱買って珈琲を飲んだら、売上金は無くなった。そんなものだ。『中原昌也 作業日誌2004→2007』に書かれた中原昌也さんの日常を、笑えない。「所持金が無い」と嘆いては大量のCDやレコードを売りに出掛け、その金で帰りにレコードを買ったりして、また所持金が無くなる。しかし、音楽を仕事にする中原昌也さんの行為と比べれば、自分は愚か者で、せめて売上金でガムテープでも買うべきである。

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ウカツだった ―アルマイトの栞 vol.145

どこでも好いから住宅街を見渡せる場所はないかと探したら、観覧車を見付けた。周辺に高層の建物は無く、その地域で唯一ダントツの高さを誇っているのが、この観覧車らしいとなれば、乗るしかないじゃないか。休日の昼少し前の時間にデパートの屋上の観覧車へ乗るには、いったいどれほど並ぶのかと、飲食フロアのあちらこちらに並ぶ家族連ればかりの行列を横目に、観覧車の乗り場へ向かった。客が、自分しか居なかった。「運転休止」かと思ったら、観覧車は回っている。やはり、客は自分しか居ない。観覧車に一人で乗り、一周して降りても、他に客が居なかった。たった一人の乗降係の人に、友情を覚えそうになった。

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