長くする手口 ―アルマイトの栞 vol.138
本の奥付とか映画のエンドロールとか、何であれ「クレジット」の類を、ともすれば本編以上にジッと見つめる傾向があり、花輪和一さん『刑務所の前 』の奥付に表記された「消しゴムかけ=白石幹人(小学館)」などは気になって仕方がない。無闇と情報量の多いクレジットに惹かれる自分で、それゆえにYouTube公開の映像『半村良の空想力』は約24分の本編中、3分46秒がエンドロールになってしまい、自分でもどうかと思うが、更に今さら「出典に『不可触領域』を忘れた」と悔やんだりする。インタビューに登場する画家の岩永忠樹さんは、『不可触領域』の登場人物「岩永」のモデルだった。忘れていた。あと2秒、エンドロールを長く出来たのだ。誰も取り合ってくれそうにない悔悟である。