簡単明瞭な世界観 ―アルマイトの栞 vol.216
アメリカの言語人類学者ダニエル・L・エヴァレットは、言語学のフィールドワークを行う目的で、ブラジルのアマゾンに暮らす少数民族ピダハンの集落へ出向いて彼らと共に生活し、そこでの体験の一部始終を綴った著書の邦訳が、みすず書房『ピダハン 〜「言語本能」を超える文化と世界観〜 』なのだが、原著の表題は「DON’T SLEEP, THERE ARE SNAKES」となっており、和訳すると「眠るな、そこにヘビが居る」で、これはピダハンたちが夜の時間帯に仲間へ別れを告げる際に使う言葉なのだそうだから、つまり「お休みなさい」の挨拶だろうけど、「そこにヘビが居るぞ」では、怖くて眠れたものではない。