小説バンド ―アルマイトの栞 vol.134
だしぬけに、何の脈略もなく、しかも一人で部屋の片付けをしているときに、「今も『人間椅子』ってバンドは活動してるのだろうか」と思う自分が、心配である。どこから舞い降りてきた疑問なのか判らないまま、片付けを放り出し、別冊太陽『日本のロック50’s~90’s』を開いた。彼らが音楽的に、どう位置付けられていたかを思い出せなかったからだ。本の殆ど最後の、'90年前後のページに小さな写真付きで、『人間椅子』の短い解説がある。「江戸川乱歩の小説を題材としたおどろおどろしいハード・ロック・バンド」。それはそうなのだが、もう少し音楽性に触れたらどうなのか。『人間椅子』と聞いて、乱歩の短編以外に心当たりのある者が大勢居るなら、不安だ。