逃避の連想ゲーム ―アルマイトの栞 vol.108
どれほどジタバタしたところで、本番の9月23日(金)が一週間後に迫った鈴木一琥さんの『龍の声』ではあるが、何を思ったのか、マグロを眺めに水族館へ出掛けてしまう自分なのだった。夏休みの終わり頃とは、片付かない宿題に怯える気持ちを抱えながらも、えてして水族館などに出掛けて束の間の現実逃避を試みたりする切ない時間だ。公演会場の第五福竜丸展示館は最寄り駅が新木場だが、その一駅隣に葛西臨海公園があったりすることも誘惑の原因である。福竜丸がマグロ漁船だったことに思いを巡らせていたら、隣駅の水族館がアタマの中にいきなり現れた。その水族館に、数多のマグロやカツオが回遊する大水槽のあることを、たぶん十数年ぶりに思い出したのだった。