ニュータウンと云う場所 ―アルマイトの栞 vol.33
三軒茶屋のシアタートラムで宮沢章夫さん作・演出の『ニュータウン入口』を観たのだった。大規模な集合住宅や山を切り崩して戸建て分譲の宅地開発をして作られる、あの「ニュータウン」の話だ。そして何の偶然か、いまやっているTetra Logic Studioの仕事と舞台の物語が奇妙な一致をしたのである。物語は「新宿まで電車で30分」の新規分譲地のニュータウンが舞台だ。この設定で具体的な場所はおのずとわかる。その分譲地を若い夫婦が購入して家を建てることを考える。夫婦の夢はその新居でささやかな喫茶店を経営すること。これって、明らかにいま僕等が関わっている仕事の一つそのままではないか。終演後、宮沢さんにその話をしたら向こうも驚いていた。