Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

授業の人数 ―アルマイトの栞 vol.32

大学の夏休みも終わってしまう。また後期も授業に行かなければならない。夏休みの間にサボり癖が付いてしまったような気もするが、そろそろ気分の変え時だ。後期はどれほどの人数の学生を相手にするのだろうか。こればかりはフタを開けてみないとわからない。あまり人数が多いのもどうかと思うのだが、少なすぎるのも気が抜ける。やっぱり教壇に立つって云うのは一種のパフォーマンスだからさ、それなりに観客は居てくれた方がやりやすいのだ。話芸に通じるものがある。

前期は酷かったんだ。二人しか履修者の居ない授業ってのがあって、これはどうしたことかと思った。確かに学生の数は減っている。だからって二人は酷いだろう。履修者名簿には数名の学生の名前があったが、出て来た二人の他はどこへ行ってしまったんだ。少子化の影響はこんなところに如実に出ているのである。二人しか居ないってことはその二人が休んでしまったら授業にはならない。これはえらいことで、僕は片道二時間掛けて誰も居ない教室に行くことになる。冗談ではない。いつもは学生にプライベートな連絡先を教えることはしないのだけど、この時だけは自己防衛のために教えた。

そうしたら案の定、二人揃って休みと云う事態が起きるのである。せめて欠席の連絡が家を出る前にあれば好いのだが、運悪く電車に乗ってから連絡が来たりするのである。中途半端な無駄足だ。これから少子化は続くのだろうけど、このまま行くと教員の数の方が学生より多くなってしまうんではないか。大学の経営と云う視点から考えれば問題も大きいのだろうけど、もう少し発想の転換をしたらどうかと思う。少人数のクラスだからこそ出来ることが確実にある。そう云うカリキュラムの体制を作るってことを考えても好いのではないかと思う。住居学科やインテリアコースみたいなモノ作りとかデザインを教える場所なら、1年生の時から教員毎のアトリエ制講座にするとか、少数精鋭の教育が出来るんではないかと思うのだ。多人数だったら絶対に無理だ。

学生の数が少なくなっていることを嘆くのではなく、少ないことを売りにしたって好い筈だ。なんでそう云う発想が出てこないのかな。少人数の方が密度の高い授業が出来ると云うのに。そう思って僕なりに努力はしているわけだけど、学生にこの誠意は伝わっているんだろうか。怪しいかな。ともかく後期は始まってしまうのだ。まだ演習課題は考えていない。フタを開けてどれほどの人数が居るのか確認してから考えようと思っている。人数によって適正な課題と云うのは変わるものだ。願わくは履修生が二人より減らないことを祈るばかりである。満員御礼の教室ってのも憧れはするのだが、この先またあんな時代は戻ってくるのだろうか。

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