Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

邪魔する二助 ―アルマイトの栞 vol.222

「あ、キミみたいな人が、きっと気に入る感じだな」と人から薦められたのは、小説家の尾崎翠で、その名前こそ知っているものの、未読の作家だったから、ともかく河出文庫の『第七官界彷徨』を手に入れ、全く未知の世界へ足を踏み入れる心持ちで本を開くと、その冒頭の書き出しは次のごとくである。「よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである」。いきなり「恋」などと書かれて、危うく本を取り落とすところだった。自分のような者が読んでも構わないのか、おおいに不安がよぎるわけである。

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クイズと探し物 ―アルマイトの栞 vol.221

とりたててクラシック音楽のファンではないのだけれど、クラシックのCDも多少は持っており、かなり久しぶりに『「タンホイザー」序曲 / ワーグナー名演集』を聴かなければいけないような事態になって、ともかく聴く必要があった曲は、冒頭に収録された『歌劇「さまよえるオランダ人」序曲』で、それを聴く原因を作ったのは、突然に届いた携帯メールである。「さまよえるオランダ人の曲だと思って聴きなおしたのだけど、どうやら違ったみたいで、一晩に亘って考え込んで、やっと思い出せました。さて、正解は何だったでしょうか?」。一見、相談か質問を装ったメールだが、どう考えても、クイズだ。

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幻想に遊ぶ人々 ―アルマイトの栞 vol.220

これを書き始めた今は、2015年の12月なのだけれど、書き終わる頃には年が明けているだろうと思うノロマぶりで、こんな状況で記す挨拶をどうしたら好いのか悩むが、ともかく、2015年もTetra Logic Studioを支えて頂き、ありがとうございました。そして、早速なのですが、2016年もTetra Logic Studioを宜しくお願いします。今は、いつですか?。自分でもワケが判らない最近のノロマな状況の原因の一つは、ちくま文庫の東雅夫『日本幻想文学事典 』をふと読み始めてしまったからで、それが遅々として読み進まず、よくよく考えれば、本書は「事典」で、事典を通読しようとする自分が阿呆なのだと気付く。

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サークルでチーズ ―アルマイトの栞 vol.219

なぜだか判らないけれど、ここのところ頻繁に本を頂き続けており、もしかすると周囲の人々から「もっと本を読め」と無言の叱責をされているのかもしれず、ついに読まねばならない本が言語学者ヤコブソンの著書などと云うところにまで行き着き、いったい何故に平凡社ライブラリー『ヤコブソン・セレクション 』を課題図書のごとく渡されるのかと途方に暮れつつ本を眺めてみれば、カバーに巻き付いた帯の背には「生涯アヴァンギャルド」と記されており、なにやらタダごとではない気がして、これが「生涯現役」だったら無視するが、「生涯」が「アヴァン」で「ギャルド」なんである、よく判らないが。

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意地でもロケハン ―アルマイトの栞 vol.218

近頃、いつも以上に酷く出不精な状態に陥ってる自分を「ロケハンへ出掛けましょう」と誘ってくれる有り難い人も居るのであって、どこへ連れ出されるのか判らないままに付いて行くと、百貨店の屋上の遊園地に辿り着き、こんな場所にポツンと存在する観覧車にトキメク自分だから、「ステキだ」と反射的にカメラを向けてしまうわけだが、それにしたって、なんで観覧車のゴンドラに「火災予防運動実施中」などと云う無粋な文言を貼り付けてしまったのかと悩まざるを得ず、9台のゴンドラと「火災予防運動実施中」の9文字の数の一致だけが理由なのであれば、「地獄の沙汰も金次第」と貼っても構わないことになる。

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