Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

乱れ打つ人々 ―アルマイトの栞 vol.198

東京ドームだとか巨大なアリーナ施設が年越しのカウントダウンライヴの会場に選ばれるものだとばかり思っていたので、「寺」は盲点だった。自分のウカツさを猛反省せねばなるまい。寺の境内でカウントダウンライヴを開催してはいけない理由など無いのであって、ウカツな自分を嘲笑うかのように、境内には大小様々な和太鼓がセッティングされており、しかし、その和太鼓の前に並べられた60センチ四方くらいの三枚の板の用途は謎だったが、ライヴのスタートと同時に、板の上で三人が激しいタップダンスを始めた。和太鼓とタップダンスのコラボである。その脇で除夜の鐘が鳴る。前衛的な打楽器アンサンブルに違いない。

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南を揃えていく ―アルマイトの栞 vol.197

2015年もTetra Logic Studioを宜しくお願いします。どう考えても早々に二月の寒さだとしか思えず、ただでさえ寒いのは苦手なのに、大晦日に近づくほど自分は冬眠モードに陥りがちとなり、このままホンモノの二月に突入したらドンナ極寒が来るのかと脅え、どこか南国へ逃げたいのは山々だが、悲しいほど逃走資金が無く、自分に残された手段は大音量で南米の音楽を聴くことくらいなので、自室のCD棚から「セニョール・ココナッツ」のアルバム『プレイズ・クラフトワーク』を探し出した。ドイツのテクノバンド「クラフトワーク」の硬質な楽曲を軒並みラテン・アレンジでカヴァーした驚愕の一枚は、サンティアゴでの制作だ。もう気分はチリである。

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茫然とする ―アルマイトの栞 vol.196

ふと手に取った千葉雅也さんの『別のしかたで 』は、副題に「ツイッター哲学」と記されているから、Twitterに関する哲学的な論考だろうかと思って本を開くと、奇妙に長い目次のような文字群が先ず目に入り、パラパラと目次を眺めるつもりでページを繰ると、何やら様子がヘンなので、あらためてページを凝視したら、千葉雅也さんのツイートだけが並んでいる本だと判って驚いた。驚きながら目にしたツイート「今日の夕食、とんかつ屋でメインのとんかつに手を付ける直前に、豚汁と漬け物とご飯だけをちょっと頂いてみた短い時間がとても幸福だった。」は、まるで尾崎放哉の自由律俳句かとも思い、ワケの判らぬまま読み耽ってしまった。

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自称は撮影班 ―アルマイトの栞 vol.195

舞踏家の細田麻央さんから「踊りのお知らせです☆よろしくお願いいたします☆」とメールが届き、「よろしくお願い」されたのは公演の映像記録の撮影なんではなかろうかと勝手に解釈し、映像家の大津伴絵さんを誘って「撮影班です」と押し掛けるのは、これが三回目で、では過去二回の麻央さんの記録映像の行方はどうなったかと云えば、たぶん、おそらく、大津さんのMacのHDの中か、ことによると、いまだに彼のカメラのSDカードの中ではないかとも思い、すると今回の映像もSDカードから外へは出ていないと思われ、自分たちの「撮影班です」の一言がチケット代を踏み倒す狙いかも知れないと、そろそろ誰かが気付くべきだ。

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やなぎだクン ―アルマイトの栞 vol.194

なにやら気になり続けて二ヶ月くらい前から繰り返し読んでいる本が、角川ソフィア文庫版の柳田国男『山の人生』で、とっくの以前に読んだとばかり思っていたのだけれど、自室の書棚を調べたら、それは柳田国男の『山民の生活』だったことが判明し、この表題の紛らわしさは『初めて使うAndroid設定ガイド』と『初心者のためのAndroid完全ガイド』の紛らわしさに似ている気がしてならず、まさか柳田国男は、読者が間違えて同じ本を二冊買ったりするのを目論んだのではあるまいな、とか疑念を抱きもするのであって、その点も含め、ちょっとイロイロ、本人を呼び出して問い詰めてみたい気分ではある。

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