売りに行く ―アルマイトの栞 vol.146
自宅の本を少し処分しようと考え、資源ゴミでも好いのだが、ふと思い立ち、近所の新古書店に持ち込んでみた。買い取り価格に期待などしなかったが、大型の紙袋一つにギッチリと詰め込む冊数だ。売れた。売れたが、その帰りに煙草を一箱買って珈琲を飲んだら、売上金は無くなった。そんなものだ。『中原昌也 作業日誌2004→2007』に書かれた中原昌也さんの日常を、笑えない。「所持金が無い」と嘆いては大量のCDやレコードを売りに出掛け、その金で帰りにレコードを買ったりして、また所持金が無くなる。しかし、音楽を仕事にする中原昌也さんの行為と比べれば、自分は愚か者で、せめて売上金でガムテープでも買うべきである。