Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

分解を振り返る ―アルマイトの栞 vol.144

誰から教わったのかは忘れたが、パソコンを分解して何かをするならば、作業工程毎にデジカメで記録写真を撮っておくと、作業を振り返る必要が生じたときに便利だと聞いたことがあって、それは賢い知恵だと、その誰だったかを尊敬した。尊敬したのに、誰だったのかを忘れてしまった。失礼なヤツだ。ともかく、昨年の夏に何の前ぶれも無くダメになってしまった自宅のMacを放置していたので、そいつからHDだけ取り出して、復活なり再利用なり出来ないかと考え、分解作業を始めた。そして、「記録写真を撮ると便利」の知恵を、分解作業が終わった時点で思い出した。そこで撮影したが、それでは「記念写真」だと思う。

作業工程の記録を撮影しなかったと気付いたら、不安になった。ネット上に、親切な写真付きで分解手順が書かれた未知の人のブログを見付け、それを見ながら分解したのだが、作業を始めて早々に、外すネジの位置や数が紹介事例とは微妙に異なることに気付き、どうやら型式が違うモデルなのだと察し、察していながら「つまり、きっと、こう云うことではないか」と勝手に判断して、どんどん分解してしまった。その勝手な判断は、その場の思い付きでしかなく、分解を終えた時点で、自分が何をどこから外したのか、よく判らない。そして、記録写真は無い。誰かに分解工程を問われたら、「とにかく目の前のネジは外すのです」の一点張りで、「組み立ては別の部署です」などと妄言を吐きそうだ。

しかし、「別の部署」であれ、組み立てるなら、外したネジやらが揃っている必要があり、それは当然なのだが、それすら自分は不安だ。一本のネジも捨てていない自信はある。だが、過去に「いつか修理しよう」と捨てずに転がしておいた「今となっては何の部品なのか不明なモノ」が、そこら中に居て、そこへ混ざってしまったかも知れない。Macから外したモノを、確実に他のモノたちから隔離しようと、ゴチャゴチャな机の上のモノを分類した。明らかに「服のボタン」はMacから出たのではないと思う。同じボタンがもう一つ在った。そんなにボタンの取れた服を着てるのか。で、どの服だ?。ともかく分類したモノを薬局の透明なビニル袋の余り物に小分けした。まるで、押収された証拠品である。

危うく自分が何をしてるのか見失いかけたが、分解作業の目的はHDを取り出すことで、その意味では目的を達成している。あとは取り出したHDを専用ケースに入れて接続すれば好く、そのケースは友人から貰ったので、そのまま作業を続行すれば何の問題も無い。過ぎ去った分解工程を気にすることは無いのだと、作業を進め、HDを専用ケースに入れる工程へ移った。コネクタの端子が合わない。じかに接続は不可能だ。事前に調べておけば判ることで、どこまでも行き当たりばったりな作業はロクな結果に至らない。変換アダプタを入手するまで作業は中断で、取り出したHDも薬局の透明ビニル袋に保管した。もう誰が見ても「押収されたHD」だ。自分が撮ったのは「現場写真」じゃないか。

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