マイルス・デイヴィスの藪の中 ―アルマイトの栞 vol.97

「河出書房から出たばかりの本に、半村良の話題が出てるらしいです」。情報をくれるのは有り難いが、いくらなんでも漠然としすぎではないか。しかも、情報の最後は「らしい」と伝聞だ。このまま半村良オフィシャルサイトや公式ツイッターに掲載してみようかと思ったが考え直し、自分で河出書房のサイトを調べてみると、即座に正解の判らない数量の最新刊一覧と向き合う選択問題になってしまった。『不思議可愛いダンゴウオ』は違うだろうと思うくらいだ。それで河出書房のOさんに連絡したらアッサリと答えてくれた。初めからそうすれば好いのだ。正解は『マイルス・デイヴィス「アガルタ」「パンゲア」の真実』だった。難易度が高過ぎる。「答えだけではなく途中経過もお願いします」と、試験で不正でもしているような気分になった。

いつまで続くのかと思う半村良作品の読破作業である。よくもまあ書いたもので、自分の読み終えた分量はまだまだ氷山の一角だ。半村さんの作家活動はおよそ40年間で、全作品を読むのに同じ時間が掛かる筈はないが、もしそんなことになったら、自分の寿命の方が先に尽きる可能性が大きい。しかし、
よく考えてみたら、墨田の町工場での公演が終わったばかりなのに、鈴木一琥さんの『
