「川口百景」はデジタル可 ―アルマイトの栞 vol.49
何気ない一瞬を、切り取ってポケットに入れて持って帰りたくなることがよくある。カメラを常に持ち歩くことが好いのだけれど、そんな光景に出遭う時に限って手ぶらだ。今日は素晴らしい光景に出くわすのではないかとカメラを持って出かけた時には、結果としてカメラはただのお荷物に終わってしまう。昨年の秋からTetra Logic Studioは写真公募展「川口百景」の企画に関わっているので、少しはカメラを持ち歩く習慣を再開しようと思っているのだが。
何気ない一瞬を、切り取ってポケットに入れて持って帰りたくなることがよくある。カメラを常に持ち歩くことが好いのだけれど、そんな光景に出遭う時に限って手ぶらだ。今日は素晴らしい光景に出くわすのではないかとカメラを持って出かけた時には、結果としてカメラはただのお荷物に終わってしまう。昨年の秋からTetra Logic Studioは写真公募展「川口百景」の企画に関わっているので、少しはカメラを持ち歩く習慣を再開しようと思っているのだが。
黒テントの『玉手箱』は15日(日)が楽日で、当然のことながら僕は打ち上げも含めて顔を出すつもりだったのだが、数年ぶりに高い熱を出してダウンした。そもそも先週の半ば頃からなんだか風邪ではないかと思っていたのだ。12日の木曜日にSTAGINGでお世話になっているライターの曽根朗さんが公演に足を運んでくれて、終演後に珈琲を飲みながらいろんな話をしたのだけど、この日の時点で既に体調は怪しかった。さっさと帰れば好いものを、曽根さんと話がしたかったのだ。この人のブログ『うたかたの日々』は、とにかく凄い。どう凄いかは、ともかく覗いてみればすぐわかる。毎日これだけの話題をこまめに更新するエネルギーは尋常ではないと思う。私たちも見習わないといけません。
8日の日曜日に、黒テントの『玉手箱』は折り返し地点を過ぎた。そしてまた一人、「脱いで」しまった役者が居る。残りあと一週間でいったい何人脱げば気が済むのか。初日が始まった時点で美術家としての責任はほとんど果たしたわけだが、それでも折に触れて劇場へ足を運んでいる。先日は映像作家の安藤順健さんとアートディレクターのKさんが来てくれた。いまこの二人とは川口市主催の公募写真展『川口百景』の企画で御一緒させて頂いている。Tetra Logic Studioは企画展示の空間デザインあたりで関わっているのだが、まだそのことについてあまり具体的な話はしていない。そんなこともあったので、終演後に二人と場所を変えて話をしたが、話題はストリップになってしまうのだった。
黒テントの『玉手箱』は5月31日の土曜日に初日の幕を開けた。「幕を開けた」と舞台業界の慣用表現を使ってみたものの、『玉手箱』の舞台に幕は無い。正確には、緞帳はない。この場合、初日を迎えたことをなんと表現すべきなのか。むしろ、いまや緞帳のある舞台なんてかなり限られているのではないか。それでも舞台の者たちは口にする。「初日幕開き、おめでとう」。無いものが「開く」のだ。みんな気は確かなのか。もっと正確に表現したらどうなんだ。『玉手箱』の舞台は、冒頭に小道具の便器が登場する。これを以て表現するなら、初日は「便器が出た」である。「どうなることかと思ったけれど、無事に便器が出たね」「うん、なんとか便器が出て好かった」。何を云ってるのだ。しかし正確さを期すのであれば、やっぱり「便器が出た」のである、無事に。
26日の月曜日から『玉手箱』の劇場仕込み作業が始まった。それまで稽古場に仕込んでいた舞台空間を劇場に移す作業だ。「移す」と云っても稽古場はtheatre iwatoの3階で、劇場は1階だから作業は階段の昇り降りだけである。とは云えかなりな肉体労働になるわけで、スティールデッキの平台を大量に使う舞台空間にしてしまったことが、何だかみんなに後ろめたい。重いんですよ、スティールデッキの平台って。男性陣の役者たちは日常的に肉体労働のアルバイトをしている人が多いから、嬉々として働いていたけれど、iwatoに搬送用のエレベータでも付けたら好いんじゃないかと思った。