Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

38度5分の楽日 ―アルマイトの栞 vol.48

080616.jpg 黒テントの『玉手箱』は15日(日)が楽日で、当然のことながら僕は打ち上げも含めて顔を出すつもりだったのだが、数年ぶりに高い熱を出してダウンした。そもそも先週の半ば頃からなんだか風邪ではないかと思っていたのだ。12日の木曜日にSTAGINGでお世話になっているライターの曽根朗さんが公演に足を運んでくれて、終演後に珈琲を飲みながらいろんな話をしたのだけど、この日の時点で既に体調は怪しかった。さっさと帰れば好いものを、曽根さんと話がしたかったのだ。この人のブログ『うたかたの日々』は、とにかく凄い。どう凄いかは、ともかく覗いてみればすぐわかる。毎日これだけの話題をこまめに更新するエネルギーは尋常ではないと思う。私たちも見習わないといけません。

ともかく僕は12日に舞台を観たのが最後になってしまったわけだが、どうやら後半の一週間になってかなり芝居が変わっていたのだった。役者の動きや台詞運びなんかは随分変えたようだ。衣装も部分的に大幅な変更をしていた。一人の踊り子は、誰の意図か希望か知らないが、ただでさえ薄着だった衣装が更に薄着になって、ヘソが出ていた。本人の意図でないとすれば、確実に誰かの趣味である。劇中のペレス・プラードのマンボを演奏するシーンは、全員がきらびやかなラメだらけの衣装になっていて、このシーンだけ見たならば、いったいこの連中は何をしているのかと思うような光景である。そして初日にいきなり「脱いで」しまった片岡さんは尻まで出す始末である。熱も出ようと云うものだ。

そんなこんなで、楽日がいったいどのようなものだったか知らないのである。出演者の一人である宮崎恵治さんのブログにはこの公演の準備期間からの過程が克明に綴られているのでそちらも御覧頂ければと思う。あっ、いま覗いたら楽日終演後の記念写真が載ってますね。こんな舞台でした。

最後の公演に立ち会えなかったとは云え、楽日を迎えた後に一抹の寂しさが残るのは今回も同じだ。宴の後の寂しさとでも云うのでしょうか、もうちょっとこの時間を引き延ばしてもらいたいような、そんな気分に陥ってしまう。舞台でも個展でも、終わったときはいつもこの気分で、そうすると、早くこの気分から抜け出したくて「じゃあ今度は何をしようか」と考えはじめてしまい、そして次の「何か」を画策することでこの寂しさを振り払っていく。いつもこの繰り返しだ。詰まるところ、舞台も含めてなにかを創造する行為は、寂しさからの絶え間ない逃避運動なのではないだろうか。そして僕はいま、映画を撮りたい。

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