遭遇 ―アルマイトの栞 vol.170
何の気無しに国書刊行会のサイトを覗いたばっかりに、空飛ぶ円盤の本へ手を出してしまうのである。だしぬけに『何かが空を飛んでいる
』と云われたら、気になるじゃないか。しかも、表紙の中央下に、子どもの頃、本で見て真剣に怯えた「宇宙人」が立っていて、これも「接近遭遇」の一種だ。そして自分から近付き、本を入手し、急かされるように読み進むと、幼少期に何かの本で読んだ「UFO関連の話」が目白押しで、記憶の扉が次々と開いてしまい、こんな話題に関してばかり基礎教養のある自分をどうかと思う。それにしても、人を誘拐して円盤へ連れ込む宇宙人は、なぜ、どいつもこいつも「人のヘソに針を刺す」のか。



決めた日程が当日に延期となり、あらためて関係者同士のスケジュールを調整して再決定となった日程が、その当日になって再び延期となり、そしてまた関係者同士のスケジュール調整が始まる。なんだか、もう永久に「その日」は訪れず、スケジュール調整と日程延期の連鎖する世界に閉じ込められたような気がして、そうだとすれば、極めてレベルの低い悪夢だと思う。レベルの高い悪夢は「ある朝、虫になってた」みたいな話で、それはカフカの『変身』だが、その『変身』が自宅の書棚に3冊も存在すると気付き、それもまた悪い夢のようではある。異なる邦訳を見付けては買ったらしいが、夢中遊行なみに自覚が無い。
音源を見付けたかったのは、’80年代後半に、ムーンライダーズの鈴木慶一さんが作詞と作曲を手掛けた『こんなじゃダメ神様』で、今ならガールズ・ユニットとか呼ばれるだろう「チロリン」が唄い、やはりムーンライダーズの岡田徹さんがプロデュースをしていた。そのCDを見付けたと思った。「チロリン」の名前と、収録曲に『こんなじゃダメ神様』が在り、当時の、岡田徹さん作曲『(チロリンの)星に願いを』も入っていて、もう間違いないと、レジへ直行した。それが、メンバーだけを一新して昨年デビューした「新・チロリン」のアルバム『Chit Chat Chiroline』だった。ジャケのデザインを見て、’80年代じゃないと気付くべきだ。
