Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

血まみれな本 ―アルマイトの栞 vol.224

なんたる怠惰でノロマなのかとホトホト呆れることに、たった一冊の文庫本を読み終えてみれば、二ヶ月以上の時間が経過しており、それは徳間文庫の山田風太郎『人間臨終図巻Ⅰ 』なのだけれど、「Ⅰ」であるからには続巻もあるわけで、これは全三巻のうちの「Ⅰ」だから、このまま「Ⅱ」「Ⅲ」と読み進めていきたいところだが、2001年に「Ⅰ」だけを買って、読まずに書棚に放置し、買ったことすら忘れ、「Ⅱ」と「Ⅲ」は所有しておらず、ともかく、購入してから読み始めるまでに15年が経過し、読み終えるまでに二ヶ月以上を費やし、1977年に打ち上げられたボイジャー1号だったら海王星を通過している頃だ。

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発掘への道 ―アルマイトの栞 vol.223

全くもって思いもしなかった研究テーマも在るものだと、つい唸らざるを得なかったのは、『共産テクノ ソ連編』なる書籍が刊行されると知ったときで、初めてタイトルを耳にした際には、「協賛と提供」と聞き誤ったほどなのであって、つまり、それほど、盲点を突いたような研究テーマが「共産テクノ」であり、そんなテーマに取り組む著者の四方宏明さんは、自らを「音楽発掘家」と称しており、そんな肩書きすら初めて目にするわけで、その肩書きの意味するところは「あまり世に知られていない音楽を見つけては紹介する人」かと思うが、そう文字に書いてみて、ふと思った。ワタシも、それになりたい。

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邪魔する二助 ―アルマイトの栞 vol.222

「あ、キミみたいな人が、きっと気に入る感じだな」と人から薦められたのは、小説家の尾崎翠で、その名前こそ知っているものの、未読の作家だったから、ともかく河出文庫の『第七官界彷徨』を手に入れ、全く未知の世界へ足を踏み入れる心持ちで本を開くと、その冒頭の書き出しは次のごとくである。「よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである」。いきなり「恋」などと書かれて、危うく本を取り落とすところだった。自分のような者が読んでも構わないのか、おおいに不安がよぎるわけである。

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クイズと探し物 ―アルマイトの栞 vol.221

とりたててクラシック音楽のファンではないのだけれど、クラシックのCDも多少は持っており、かなり久しぶりに『「タンホイザー」序曲 / ワーグナー名演集』を聴かなければいけないような事態になって、ともかく聴く必要があった曲は、冒頭に収録された『歌劇「さまよえるオランダ人」序曲』で、それを聴く原因を作ったのは、突然に届いた携帯メールである。「さまよえるオランダ人の曲だと思って聴きなおしたのだけど、どうやら違ったみたいで、一晩に亘って考え込んで、やっと思い出せました。さて、正解は何だったでしょうか?」。一見、相談か質問を装ったメールだが、どう考えても、クイズだ。

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幻想に遊ぶ人々 ―アルマイトの栞 vol.220

これを書き始めた今は、2015年の12月なのだけれど、書き終わる頃には年が明けているだろうと思うノロマぶりで、こんな状況で記す挨拶をどうしたら好いのか悩むが、ともかく、2015年もTetra Logic Studioを支えて頂き、ありがとうございました。そして、早速なのですが、2016年もTetra Logic Studioを宜しくお願いします。今は、いつですか?。自分でもワケが判らない最近のノロマな状況の原因の一つは、ちくま文庫の東雅夫『日本幻想文学事典 』をふと読み始めてしまったからで、それが遅々として読み進まず、よくよく考えれば、本書は「事典」で、事典を通読しようとする自分が阿呆なのだと気付く。

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