Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

妖怪をあきらめて ―アルマイトの栞 vol.191

子どもたちのブームに便乗するわけではないけれど、講談社文庫に加わった水木しげるサンの『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様 』は、本自体が「文庫本の妖怪」なのかと思う厚さ4cmのシロモノで、そこに巻き付いた帯には「遂に出た! 枕にもなる!」と、妖怪の甘言らしい文字が躍って人を化かす気らしく、しかし重要なのは「決定版」の文言である。決定してしまったのだ。日本の妖怪に関して事典を編むことは、もう誰にも許されない。なんか、日本中の子どもに「あきらめ」を教えてるみたいで気が引けるのだが。少なくとも、「将来の夢は妖怪の仲間に加わることです」と卒業文集に書いても、もう遅いヨ。

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長い暗誦 ―アルマイトの栞 vol.190

140926.jpg 1976年に発表された諸星大二郎さんの『暗黒神話』は、集英社文庫版の裏表紙に記されるとおり、「かつて漫画界を瞠目させた空前絶後の古代英雄冒険譚!!」だが、登場人物の誰もが凄まじく物知りな点にも瞠目してしまうわけで、その物知りぶりは、重要な脇役の菊池一彦と大神美弥が交わす会話にハッキリ現れる。唐突に一彦が「『魏志倭人伝』は知ってるか?」と問い、美弥は「ばかにしないで! 暗誦できるわ」と答え、即座に一彦が返す。「いってみろ」。人生で一度でも魏志倭人伝を「いってみろ」と命じられることがあるだろうか。それとも、魏志倭人伝くらい暗誦できないとマズイのだろうか、オトナとして。

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30時間 ―アルマイトの栞 vol.189

いつか必ず読まねばなるまいと心に決めて幾星霜の作家や作品が多すぎて困るのだが、サッサと読まないと本の入手が困難になる場合だって珍しくはなく、久生十蘭『魔都』がイイ例で、河出文庫の久生十蘭のシリーズには不可解にも入っておらず、国書刊行会の『定本 久生十蘭全集 第1巻』などと云う高額な本に手を出さなければ『魔都』は読めないと知り、青空文庫も開いてはみたけれど、Macの画面で長編推理小説を読み切る自信は無く、挫折し、するとやはり『定本 久生十蘭全集 第1巻』なのだが、先ず西暦2014年に「久生十蘭ブーム到来」の自分がどうかしており、ちなみに昨年の夏は一人で「横溝正史ブーム到来」だった。

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ふらふら追う ―アルマイトの栞 vol.188

フラフラとタワレコへ入っては、そのバンドのCDが置かれた棚の前を行きつ戻りつし、amazonへアクセスしては、そのバンドのアルバムを試聴し、そんなことを何ヶ月も繰り返した挙げ句に、「ドレスコーズ」の2ndアルバム『バンド・デシネ』をamazonで注文し、しかもDVD付きの初回限定盤に手を出し、のみならず、どうせならと、1stアルバム『the dresscodes』も「カートに入れる」をクリックしてしまい、これもDVD付きの初回限定盤を選んでしまう自分が居て、明らかに、ここ数ヶ月ばかり続いたamazonの「地道な誘惑」に完全に敗けた、と云うか、見事に転がされているが、コトの発端の責任は自分にある。

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顔を探す ―アルマイトの栞 vol.187

やはり、それほどまでに論じたい人が多いテーマだったのかと思わざるを得ない雑誌ユリイカの臨時増刊『総特集 イケメン・スタディーズ』をパラパラと眺めれば、ここぞとばかりに「イケメン」の容姿に関する議論や考察が繰り広げられ、人の顔を取り挙げたうえで縦横無尽に論を説き起こす内容は、ナンシー関さんの『小耳にはさもう』以来の快挙ではなかろうかと勝手なことを考えたりしたが、何の根拠も在るわけではなく、ナンシー関さんの彫った「消しゴム版画の滝沢秀明」を思い出しただけだ。そして、ちょうど「どこかにイケメンは居ないか」と探している最中でもあるのだが、決して私的な動機からではない。

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