青いキンキラ ―アルマイトの栞 vol.77
また舞台照明の仕事を頼まれてしまった。今度はシャンソンのコンサートである。知っているようで知らないような、なんとも微妙なジャンルだ。とっさに思い出すのは越路吹雪の姿くらいで、それは殆ど偏見かもしれない。「エディット・ピアフも居るでしょ」などと怒られそうだ。何はともあれ、送られて来た当日の楽曲リストを見た。「何曲かは知っている」と思ったが、それはむしろ「思い上がり」だ。「この曲は知っている」とは、えてして「この曲のサビだけは何となく知っている」程度のことに過ぎず、それは「知っている」うちには入らない。つまり、しっかりと聴かなければいけないのだ、リストにある32曲ものシャンソンを。ベスト盤の価値が個人的に急上昇する。