Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

押上の宇宙人のとなり ―アルマイトの栞 vol.101

鈴木一琥さんの次のダンス公演『Voices of Dragon ~龍の声~』の打ち合わせで出掛けた先は押上で、地下鉄の駅から地上へ出たら、高さ634mの鉄塔が突き刺さっているわけである。東京の下町に、異星人たちの乗った母船が何かの手違いで墜ちて刺さって身動きが取れなくなったのじゃないかと云う光景で、申し訳無いけれど、笑った。遙か彼方に輝く恒星まで、当面は帰れそうにない雰囲気だ。そうなると、困っている異星人を下町の住人たちが助け始めるのではないかと思うわけで、それは半村良さんの『となりの宇宙人』そのままの展開である。「宇宙人は冷奴をひとくち口に入れて首をかしげる」。それはそうだろう。続きが気になる方は河出文庫『となりの宇宙人 』で読んで下さい。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

前触れの無いSF ―アルマイトの栞 vol.100

結晶世界 とりたてて疑問を抱くことなく読んでいる半村良さんのSFだが、そこから半村さん公式ツイッターへ掲載するネタを拾ってリスト化し、後日そのフレーズだけを見返すと、描写された光景が妙に気になる。「宇宙人は箸を置いた」。どんな光景を思い浮かべるべきだろうか。自分は今のところ、宇宙人を見たことはないのだ。何食わぬ貌で作者が描写する光景の大半を、実は誰も見たことがないのがSF小説かもしれず、とくに海外SFの邦訳を読むとその印象が強くなる。J・G・バラードの『結晶世界』に描かれた光景などはどうすれば好いだろうか。「色彩豊かな甲冑のような彩光は消え、ほのかな琥珀色の輝きが樹から樹へと動き、金属片で飾られたような地表が翳っている」。友人からのメールだったら心配になる。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

混ぜて読むと危ない ―アルマイトの栞 vol.99

何冊かの本を併読することはアタマの混乱を招く原因だと知りながらも、つい同時に複数の本に手を出す自分が居る。半村良さん公式ツイッターに引用するフレーズを拾うために半村さんの伝奇SFばかり読んでいるから、併読するにせよ、アタマがゴチャ付かないように異なるジャンルの本を選んでいたつもりなのだが、いつの間にか三冊のSFを併読していた。半村さんの『邪神世界』を読み始めながら、今さらJ・G・バラードの古典『結晶世界』を読んでいた。そこでやめれば好いものを、ふと『宇宙飛行士オモン・ラー』を手に取った。ロシアの作家ヴィクトル・ペレーヴィンの書いた、当然のことながらロシアのSFである。表紙のデザインに惹かれたのがいけない。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

終わらなくする ―アルマイトの栞 vol.98

来年の春頃に、半村良さんの没後10年を記念して何かを画策しなければならず、その布石として半村良オフィシャルサイト公式ツイッターを始めたわけで、それらの日々の更新作業はどうにか続いているが、問題は来年の春に画策しなければいけない「何か」だ。舞台に関わる者としての「業」なのか、放っておくと自分のアタマはすぐに「舞台作品が作れないものか」と考え始める病的な思考回路である。ふと、『戦国自衛隊』を宝塚歌劇にしたらどのようなことになるだろうかと考えたが、「ふと」思っただけだ。タイムスリップに巻き込まれたシーンで20数名の自衛隊員が歌って踊る。誰がそんな舞台を観に行くのだ。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

マイルス・デイヴィスの藪の中 ―アルマイトの栞 vol.97

マイルス・デイヴィス『アガルタ』『パンゲア』の真実 「河出書房から出たばかりの本に、半村良の話題が出てるらしいです」。情報をくれるのは有り難いが、いくらなんでも漠然としすぎではないか。しかも、情報の最後は「らしい」と伝聞だ。このまま半村良オフィシャルサイトや公式ツイッターに掲載してみようかと思ったが考え直し、自分で河出書房のサイトを調べてみると、即座に正解の判らない数量の最新刊一覧と向き合う選択問題になってしまった。『不思議可愛いダンゴウオ』は違うだろうと思うくらいだ。それで河出書房のOさんに連絡したらアッサリと答えてくれた。初めからそうすれば好いのだ。正解は『マイルス・デイヴィス「アガルタ」「パンゲア」の真実』だった。難易度が高過ぎる。「答えだけではなく途中経過もお願いします」と、試験で不正でもしているような気分になった。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク