「らしさ」の要素 ―アルマイトの栞 vol.131
ある印刷物の制作打ち合わせで、「新聞的なデザイン」と話が決まり、それで自宅の書棚に埋もれていた『天井桟敷新聞 全縮刷版』を探し出した。寺山修司主宰「演劇実験室 天井桟敷」が、'67年から'83年まで発行していた全26号の「新聞」をA5版に縮刷した本だ。「新聞の模倣」としては秀逸で、その「新聞らしさ」の一つは豊富な掲載広告の存在だと思った。ただ、広告主の多くが飲食店なのはともかく、どこかのキャバレーの「松井須磨子型から加賀まりこ型まで美女3,000名!」と云うキャッチコピーはどうなんだ。「松井須磨子」から「加賀まりこ」までの間の2,998名がどんなグラデーションなのかを教えて欲しい。