Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

目指すパッケージ内容 ―アルマイトの栞 vol.128

あちらこちらへ届けている半村良さん関連の映像ディスクだが、じつはジャケットが無い。いまさら云うのもなんですが。一応は、人に渡すためのケースは有り、間違ってもディスクを剥き出しのまま届ける愚かなマネはしていないものの、ホントは「デザインされたディスクジャケット」に入れる筈だった。「デザインする」と公言した自分の怠惰以外に、「ジャケット無し」の理由はない。この期に及んでは、何を語ろうと云い訳にしかならないわけだが、悩んでしまっているのである、ケースの種類やサイズに。サンプルとして手許に集めたディスク用のケースを眺め続けて、たぶん二ヶ月近くになり、こうなると、優柔不断と云うより馬鹿者である。

自分のアタマの中で、勝手に問題を大きくしている原因の一つが「2枚組ディスク」であることだ。DVD版とブルーレイ版をセットにしているので、それは当然「2枚組」になる。そして、「2枚組」と聴けば「豪華」の単語を思い浮かべてしまう貧乏性の自分が居る。音楽CDも含めて、過去に購入した「2枚組」やら「4枚組」を引っ張り出してはディスクジャケットを観察してしまう。それらは、たいてい何かしらデザイン面で手の込んだことをしており、眺め回しては「カッコイイなあ」などと呟き、繰り返すが、そうして二ヶ月が過ぎているわけで、やはり馬鹿者である。棚の奥から、忘れていた「紙ジャケ復刻版2枚組CD」が現れたときは、危うく厚紙工作を始めそうになった。

そんな観察を日々繰り返していれば、余計な発見をするものだ。「2枚組、4枚組は、ブックレットもカッコイイ」。無性にブックレットも作りたくなるのは致し方のないことで、案の定、今度はブックレットの観察が始まる。記載されている内容はもちろん、文字組みやフォント、レイアウト、用紙種をマジマジと眺め回し、なにやら壮大なプロジェクトを企てているとしか思えない状況を、勝手に自分で作り出している。現に、憧れの眼差しで自分が見つめていたのは、ある2枚組ディスクに付された40ページのブックレットだった。これはもう「書籍」と呼ぶべきで、迂闊に模倣など試みれば泥沼にはまる。ディスクジャケットはいつ仕上がるのか。

ともかく今はディスクジャケットの作成が優先だと自分に云い聴かせているわけだが、既にディスクを受け取った人の手許に数ヶ月遅れてジャケットが届くことじたい、そもそもどうなのか。そしてさらに数ヶ月後にブックレットが届いたりすれば、何かの模型の部品が少しずつ届く通販商品みたいなことになっていく。しかし、全てのパッケージが揃ったところで、それは通常の「映像ディスク2枚組」であることに何ら変わりはなく、ボチボチと届けている自分が間抜けなだけだ。自分の間抜けさ加減を隠蔽したいなら、ブックレットに続けて模型キットでも作って送付するしかないのじゃないか。『模型キット「半村良の書斎」スケール1/32』。いや、さっさとディスクジャケットを作れば好いのだ。

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