終演後にチェック ―アルマイトの栞 vol.176
慌ただしいのか余裕なのか自分でもハッキリ判らないまま、鈴木一琥さんのダンス公演『3.10 10万人のことば』は無事に終演した。御来場頂いた皆さま、ありがとうございました。それにしても、やはり、慌ただしかったのか余裕だったのか不明で、しかし例年のとおり公演で使った音源が耳から離れず、と云うことは、やはり何度も繰り返し音源を聴いたらしく、自分の耳が「3.10専用」みたいな設定変更をされてやしないかと案じ、「耳のサウンドチェック」をすべきかと考え、ドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』を聴いた。劇場のサウンドチェックでは定番のアルバムで、その理由は、よく知らない。

「照明を担当して5回目かあ」と思う鈴木一琥さんのダンス公演『
小一時間ほど居座ると、少なくとも二回はボビー・ヘブのヒット曲『SUNNY』を聴かねばならぬ珈琲店で、週二回ほど時間を潰す必要があり、つまり自分は週に最低でも四回は『SUNNY』を聴いていることになり、それがオリジナル曲ではなく、誰かのカヴァーした曲で、しかもボサノヴァ風アレンジで、いや、ループで続くBGMが全てボサノヴァ風アレンジで、たとえ外気6℃の雨天強風だろうとボサノヴァの『SUNNY』で、ずぶ濡れの傘の自尊心を傷付けないか心配になる。荒天の日は、ボ・ガンボスの『SHOUT !』収録版の『SUNNY』くらい派手なカヴァーを大音量で鳴らしたらどうか。傘がソウルフルな道具に見えそうだ。
