Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

間に挟んだ機材 ―アルマイトの栞 vol.193

いまとなっては相当に旧式なシンセサイザーやらの諸々の旧い電子楽器を音源として、Macで録音やミキシングなどをするためには、音源とMacの間に「インターフェイス」と呼ばれる機器を挟む必要があるので、それを貸してもらい、シンセやらを音声ケーブルでインターフェイスに接続し、そこからUSBケーブルでMacへ接続して音を録ったら、元の音とは驚くほど違う音が録音されていてナニゴトかと思い、音色も音程も、まるで身に覚えの無い奇怪な音が再生される。例えて云うなら、「ピアノの音色でド・レ・ミ」と入力したら「チャルメラの音色でファ・ラ・レ」なわけで、このインターフェイスは音痴ではないのか。

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カオスなカバー ―アルマイトの栞 vol.192

いつだったか、日が暮れてからエレキベース弾きの友人と会って安い呑み屋を探しながらウロウロしていると、都内では珍しい銭湯の煙突を目にし、「あ、『夜の煙突』だ」と二人揃って口走り、それはカーネーションのアルバム『GONG SHOW 』に収録された名曲『夜の煙突』を揃って反射的に連想した結果なのだが、もし同じ状況で他の知人に向かって『夜の煙突』と口にしたなら、「あ、森高千里の」と返答される確率が高く、カーネーションのオリジナル曲より森高千里カバー曲のほうが有名になっていて、YouTubeで『夜の煙突』と検索すれば、カーネーションがカバーだとしか思えぬ悩ましい検索結果となる。

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妖怪をあきらめて ―アルマイトの栞 vol.191

子どもたちのブームに便乗するわけではないけれど、講談社文庫に加わった水木しげるサンの『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様 』は、本自体が「文庫本の妖怪」なのかと思う厚さ4cmのシロモノで、そこに巻き付いた帯には「遂に出た! 枕にもなる!」と、妖怪の甘言らしい文字が躍って人を化かす気らしく、しかし重要なのは「決定版」の文言である。決定してしまったのだ。日本の妖怪に関して事典を編むことは、もう誰にも許されない。なんか、日本中の子どもに「あきらめ」を教えてるみたいで気が引けるのだが。少なくとも、「将来の夢は妖怪の仲間に加わることです」と卒業文集に書いても、もう遅いヨ。

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長い暗誦 ―アルマイトの栞 vol.190

140926.jpg 1976年に発表された諸星大二郎さんの『暗黒神話』は、集英社文庫版の裏表紙に記されるとおり、「かつて漫画界を瞠目させた空前絶後の古代英雄冒険譚!!」だが、登場人物の誰もが凄まじく物知りな点にも瞠目してしまうわけで、その物知りぶりは、重要な脇役の菊池一彦と大神美弥が交わす会話にハッキリ現れる。唐突に一彦が「『魏志倭人伝』は知ってるか?」と問い、美弥は「ばかにしないで! 暗誦できるわ」と答え、即座に一彦が返す。「いってみろ」。人生で一度でも魏志倭人伝を「いってみろ」と命じられることがあるだろうか。それとも、魏志倭人伝くらい暗誦できないとマズイのだろうか、オトナとして。

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30時間 ―アルマイトの栞 vol.189

いつか必ず読まねばなるまいと心に決めて幾星霜の作家や作品が多すぎて困るのだが、サッサと読まないと本の入手が困難になる場合だって珍しくはなく、久生十蘭『魔都』がイイ例で、河出文庫の久生十蘭のシリーズには不可解にも入っておらず、国書刊行会の『定本 久生十蘭全集 第1巻』などと云う高額な本に手を出さなければ『魔都』は読めないと知り、青空文庫も開いてはみたけれど、Macの画面で長編推理小説を読み切る自信は無く、挫折し、するとやはり『定本 久生十蘭全集 第1巻』なのだが、先ず西暦2014年に「久生十蘭ブーム到来」の自分がどうかしており、ちなみに昨年の夏は一人で「横溝正史ブーム到来」だった。

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