Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

複製のリアル ―アルマイトの栞 vol.29

Tetra Logic Studioを作る少し前に、劇場の模型製作を頼まれたことがあった。ある日、世田谷パブリックシアターの技術部長であるMさんから電話があって、「演出家打ち合わせ用の劇場模型を作ってくれ」と云われたのが発端だった。僕一人では手に余るので、模型製作が得意な卒業生をかき集めた。卒業はしたものの、どう云うわけか世間をさまよっていた連中である。そんなヤツらが何人も居たのだ。困ったものだと思いつつも、この時ばかりはその連中の存在に感謝した。随分とリアルな模型を2ヶ月ほどで作り上げてくれたのである。「オマエらは機械なのか」と云う連中だった。

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インタビューと無口 ―アルマイトの栞 vol.28

5年ほど前から『STAGING』(ステージング)と云う、舞台や劇場に関する雑誌と付き合っている。連載原稿を書き、その一方でいろんな方々へのインタビューなどもしている。この秋に刊行予定の号の原稿締切が迫ってきたこの頃だ。今回は兵庫県立芸術文化センターの芸術監督で、指揮者でもある佐渡裕さんにインタビューをしたのだが、先ずはその内容を原稿にまとめるのを急いだ。いつもならインタビュー原稿の取りまとめはプロのライターで、速記もやってくださる曽根朗さんにお願いしているのだけど、今回は諸般の事情ってやつで、僕がやっている。小一時間のインタビュー録音を知人にテープ起こしで荒原稿にしてもらって、それを規定の文字数にまとめるわけだ。しかし7,000字の元原稿を4,000字弱にするって作業はかなりヤッカイである。

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装画もやります ―アルマイトの栞 vol.27

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以前、「装丁の仕事を引き受けた」と書いたが、その仕事が本格的な製作作業に入っている。「装丁」と云うよりも、正確に云えば表紙と全10章の各章扉の装画製作だ。著者の「M先生」と書いていたのは溝口明則さんのことで、日本建築史・東洋建築史を専門とされている研究者である。アンコールワットの修復にも関わっている方だ。装画をさせていただく著書のタイトルは『古代建築技術における数の世界』。「数」は「かず」と読まずに「すう」と読んでください。このタイトルも様々な意見があったのだが、おそらくこれで最終決定になりそうな様子である。出版社は鹿島出版会。で、チマチマと絵を描き続ける夏なのだ。

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ルビッチの笑い ―アルマイトの栞 vol.26

TSUTAYAでエルンスト・ルビッチが監督した映画『生きるべきか死ぬべきか』(To Be or Not to Be)を借りてきた。10年以上も前に吉祥寺かどこかの映画館で観て以来である。それまでルビッチのことをよく知らずにいたのだけど、この作品を初めて観た時、ルビッチの笑いのセンスが気に入って、もう一度観たいと思っていたのだ。因みに『生きるべきか死ぬべきか』は1942年にアメリカで封切られた映画だが、ルビッチ本人はドイツ出身。マックス・ラインハルトの劇団などに関わった後に渡米し、アメリカでコメディ映画をいくつも監督として手掛けている。

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方向音痴と劇場 ―アルマイトの栞 vol.25

方向音痴なんである、実は。これがちょっとやそっとのレベルではなく、もう半端ではない方向音痴ぶりである。駅から徒歩10分の筈である場所へ1時間掛けてたどり着いたなんてことは一度や二度ではない。子どもの頃からそれなりに馴染みのある筈の渋谷の街で、いまもって迷子になる。知らない土地へ行った日にはもう大変で、「初めてのおつかい~大人編~」が撮影出来るのではないかと思うほどの方向音痴ぶりである。自信満々で正しい方向と逆の方へ行ってしまう。それで、「自信のある方向とは故意に逆へ行く」と云う解決策を思いついてみたが、これがまた何故かホントに逆の方向なんである。こんな人間がよくもまあ建築なんて分野に片足を突っこんでいるものだと、自分でも感心する。

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