作品名は罠なのか ―アルマイトの栞 vol.104
ある知人が云った。「半村良?。懐かしいなあ、かなり読んだよ。ほら、ナントカ伝説ってやつ」。そして今さら気付く。作品名に「伝説」が付くものだけでも随分な数があるのだ。半村良オフィシャルサイトで「半村良の仕事」を見て頂ければ判るが、「ナントカ伝説」ではどの作品だか全く見当が付かない。仕方が無いので自分が憶えている限り「伝説」の付く作品名を挙げると、相手はむしろ混乱し、その挙げ句に当の本人が思い出したかった作品は『妖星伝』だったりする。ちなみに、「伝」で終わる作品名も複数ある。実のところ、半村さん公式ツイッターの日々更新を目的に幾つもの作品を立て続けに読んだ自分が、混乱している。

家政学院の4年生数名と卒業研究の話をしていたら、それぞれにテーマこそ異なるが、「そのテーマで年表を作ったほうが好いのではないか」と云う点が一致した。そうなると、テーマ別の年表に並行して一般史の年表が添えてあれば更に面白い筈だと、学生を煽ってしまう。学生からしてみれば、つくづく面倒なことを思いつく教員である。そして先ずは自分で年表本を買った。高校教材としても定番の吉川弘文館『日本史年表・地図』と『世界史年表・地図』を買い、つい目に触れた山川出版社『詳説 日本史図録』も加えてしまった。「AB版360頁フルカラー、890円」に釣られたのだ。これも定番教材だが、昨今は写真の刷り上がりが綺麗で、これが教材なら自分も落描きを思いとどまる。
鈴木一琥さんの次のダンス公演『Voices of Dragon ~龍の声~』の打ち合わせで出掛けた先は押上で、地下鉄の駅から地上へ出たら、高さ634mの鉄塔が突き刺さっているわけである。東京の下町に、異星人たちの乗った母船が何かの手違いで墜ちて刺さって身動きが取れなくなったのじゃないかと云う光景で、申し訳無いけれど、笑った。遙か彼方に輝く恒星まで、当面は帰れそうにない雰囲気だ。そうなると、困っている異星人を下町の住人たちが助け始めるのではないかと思うわけで、それは半村良さんの『となりの宇宙人』そのままの展開である。「宇宙人は冷奴をひとくち口に入れて首をかしげる」。それはそうだろう。続きが気になる方は河出文庫『
