Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

3.5週間後に気付く ―アルマイトの栞 vol.111

どう考えても時間が経ち過ぎではないかと思うが、鈴木一琥さんダンス公演『龍の声』の打ち上げがあったのだった。公演から三週間以上が経過して「打ち上げ」と云うのもどうなのか。もう、何を打ち上げたら好いのかよく判らないのである。「これは公演の打ち上げなのだ」と強い自覚を持ち続けることが出来なければ、それはただの「呑み会」になってしまう。そして、それは「不可解なことに」と云うべきかもしれないが、出席した全員が「これは公演の打ち上げなのだ」と強く自覚をして集まったらしく、きちんと「打ち上げ」になっていた。その席上で一つの指摘が出た。「この公演って、じつは野外公演だったんじゃないか」。三週間以上も過ぎて、なんてことを云い出すのだ。

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溜め込み、停滞 ―アルマイトの栞 vol.110

SFマガジン2011の11月号 なにかと失速気味である。作家の清水義範さんが『半村良クロニクル』と題したエッセーを30回に亘って半村良オフィシャルサイトに連載してくださったが、連載が終了したいま、半村サイトの目立った記事更新が滞り気味なのである。地道なサイト更新は継続されている。サイト開設時に掲載が間に合わなかった半村作品の紹介が少しずつ増えたり、半村さんの話題が『S-Fマガジン』などに登場すれば、その情報を掲載している。サイトを小まめに覗いて隅々までジックリと眺めて貰えれば、判る。その細かな更新に気付けるかどうかを試す「半村良サイト検定」でも始めたい気分だが、それは何の役に立つ資格検定だろうか。

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延長コードの気持ち ―アルマイトの栞 vol.109

鈴木一琥さんダンス公演『龍の声』は無事に終演。御来場頂いた皆さま、ありがとうございました。それにしても、舞台の世界に踏み入って随分と長い時間が経つが、今回の『龍の声』ほど自分を不安に陥れた公演は他に例が無い。不安のタネには事欠かず、その先頭に現れたのが、電気容量だ。公演会場の第五福竜丸展示館は劇場ではないのだから、舞台照明などを前提とした電気容量を備えているとはハナから期待していない。とは云え、どの程度の容量なのかを知らないのもマズイので、一琥さん経由で確認をした。一琥さんからの返事は「15アンペア」だった。信じがたい少なさに疑念を抱き、現地でブレーカボックスを覗くと契約量は150Aだった。ダンサーに電気のことを尋ねてはいけない。

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逃避の連想ゲーム ―アルマイトの栞 vol.108

どれほどジタバタしたところで、本番の9月23日(金)が一週間後に迫った鈴木一琥さんの『龍の声』ではあるが、何を思ったのか、マグロを眺めに水族館へ出掛けてしまう自分なのだった。夏休みの終わり頃とは、片付かない宿題に怯える気持ちを抱えながらも、えてして水族館などに出掛けて束の間の現実逃避を試みたりする切ない時間だ。公演会場の第五福竜丸展示館は最寄り駅が新木場だが、その一駅隣に葛西臨海公園があったりすることも誘惑の原因である。福竜丸がマグロ漁船だったことに思いを巡らせていたら、隣駅の水族館がアタマの中にいきなり現れた。その水族館に、数多のマグロやカツオが回遊する大水槽のあることを、たぶん十数年ぶりに思い出したのだった。

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閉じ込められること ―アルマイトの栞 vol.107

鈴木一琥さんのダンス公演『龍の声』は本番まで一ヶ月を切った。アタマの中がザワつき、鳩尾の辺りに焦燥感を覚え、それは残り少ない本番までの時間が原因かと思ったが、どうも違う。漠然と、「閉じ込められた」としか表現できない気分にも苛まれる。自分の居場所が牢獄などに移ったわけではない。いったい、自分を閉じ込めているのは何なのかと考えを巡らせたら、どうやらその正体は長編小説だった。例のごとく、半村良オフィシャルTwitter更新のために手を出した半村作品は『超常領域』で、そこで足止めされて随分と時間が経過していた。本文が24字×21行の、しかも二段組みで、総頁数341の世界に閉じ込められたらしい。帯文に記された、「巨匠」が「構想3年」はダテではない。

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