Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

前触れの無いSF ―アルマイトの栞 vol.100

結晶世界 とりたてて疑問を抱くことなく読んでいる半村良さんのSFだが、そこから半村さん公式ツイッターへ掲載するネタを拾ってリスト化し、後日そのフレーズだけを見返すと、描写された光景が妙に気になる。「宇宙人は箸を置いた」。どんな光景を思い浮かべるべきだろうか。自分は今のところ、宇宙人を見たことはないのだ。何食わぬ貌で作者が描写する光景の大半を、実は誰も見たことがないのがSF小説かもしれず、とくに海外SFの邦訳を読むとその印象が強くなる。J・G・バラードの『結晶世界』に描かれた光景などはどうすれば好いだろうか。「色彩豊かな甲冑のような彩光は消え、ほのかな琥珀色の輝きが樹から樹へと動き、金属片で飾られたような地表が翳っている」。友人からのメールだったら心配になる。

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混ぜて読むと危ない ―アルマイトの栞 vol.99

何冊かの本を併読することはアタマの混乱を招く原因だと知りながらも、つい同時に複数の本に手を出す自分が居る。半村良さん公式ツイッターに引用するフレーズを拾うために半村さんの伝奇SFばかり読んでいるから、併読するにせよ、アタマがゴチャ付かないように異なるジャンルの本を選んでいたつもりなのだが、いつの間にか三冊のSFを併読していた。半村さんの『邪神世界』を読み始めながら、今さらJ・G・バラードの古典『結晶世界』を読んでいた。そこでやめれば好いものを、ふと『宇宙飛行士オモン・ラー』を手に取った。ロシアの作家ヴィクトル・ペレーヴィンの書いた、当然のことながらロシアのSFである。表紙のデザインに惹かれたのがいけない。

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