コトバの使いみち ―アルマイトの栞 vol.135
連絡を寄こすたびに、こちらのことを電話相談室か何かと勘違いしているらしい知人が居る。「あのですね、歌舞伎役者とかの『襲名』って、英語で何て云うんですか?」。知らないよ。そもそも、英語圏の文化に存在しない事柄だとすれば、該当するコトバだって無い筈だ。とは云え、何の気無しに使っている日本語の、さもない表現ほど英語で何と云うのか知らないのも事実で、それはそれで知りたくもあり、講談社『これを英語で言えますか?
』などと云う本が自宅の書棚に転がっているのは、そのせいである。けれども、この本の第1章に例示されている「逮捕令状です」「黙秘権があります」は、どんな読者を想定した結果なのか。この本で勉強してまで、英語圏で何をしでかす気だ。