Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

一緒に作る人数―アルマイトの栞 vol.203

遙か遠くに見える水平線を背にして一人佇む志磨遼平さんの写真は、「ドレスコーズ」の3rdアルバム『1 』のジャケットなのだけれど、この写真が示すとおり、ドレスコーズは志磨遼平さん一人だけを残してメンバー全員が脱退してしまう事態となり、それでも当初のスケジュールを変更せずに3rdアルバムをリリースしたのだから、それは志磨遼平さん一人によるアルバム制作ではあるが、「メンバー全員脱退」の異変を知ってからズッと気が気でなかった志磨遼平ファンの自分はホッと安堵し、もし心配が長引いていたら「何か手伝えませんか?」とSNS経由で志磨遼平さんへ声を掛けてしまうところだった。

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困難なアングル ―アルマイトの栞 vol.202

どうしても花輪和一さんの絵に惹かれてしまう自分なので、新刊の短編集『呪詛 』にもシッカリと手を出すわけだが、短編集としてのタイトルに「呪詛」なんてコトバを選ぶ発想からして、やはり花輪和一さんは尋常では無いのだけれど、表紙に描かれた十一面観音の絵の上手さも尋常では無いのであって、一般に目にする仏像の絵は、たいがい正面か横から眺めたアングルで描かれていることが多いように思い、この『呪詛』の表紙の絵のように「仏像の右斜め真下からの見上げ」アングルは他に事例を思い付かず、まして十一面観音は描画の難易度が高く、そもそも人は仏像を眺めるとき、滅多に「右斜め真下から見上げ」たりしない。

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演者は一人 ―アルマイトの栞 vol.201

照明を担当して6回目の鈴木一琥さんダンス公演『3.10 10万人のことば』は本番までの残り時間も少ないのだが、毎年のように照明のアイデアで悶々とし、なにせ毎年の作品テーマは同じで、期日も同じで、会場も浅草のギャラリー・エフで、ヘタをすれば「年中行事」みたいなマンネリに陥りそうで、とは云え、照明だけが新規なことを試みてもマズイだろうから、ここらで一琥さんが「今年は踊りに『ようかい体操第一』を採り入れます」とか大胆な宣言でもしてくれれば、照明のコンセプトも「ヨーでる ヨーでる」な感じで決まりじゃないかと思うものの、それはそれで何をすれば好いのか全く不明ではある。

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性懲りもなく、また ―アルマイトの栞 vol.200

文学全集を揃える趣味は全く無いけれど、河出書房新社が刊行を開始した『日本文学全集』の第一回配本となる池澤夏樹訳『古事記 』に手を出してしまったから、この先が不安で、刊行予定を見ると、町田康訳『宇治拾遺物語』だの、いとうせいこう訳『曾根崎心中』だの、円城塔訳『雨月物語』だの、川上未映子訳『たけくらべ』だの、自分の興味を惹かないわけがなく、だが延々と追い掛け続けたら全30巻にも及び、訳者を選択基準にすれば「全巻購入」の危険を回避できそうなのに、文学全集に付きモノの「月報」の執筆者まで誘惑のタネとなり、『古事記』の月報が京極夏彦さんだったりするから、もうイケナイ。

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同好かどうか ―アルマイトの栞 vol.199

友人や初対面の舞踏家と喋っていたら、自分を含めた三人全員が「高校生の時に稲垣足穂にハマった」と共通の過去を告白し、珍しいことだと驚き合ったものの、舞踏だとかの世界に踏み込むような者ばかりが顔を揃えたのだから、「さもありなん」と考えるべきで、お互いに驚き合ったり喜ぶのは、高校時代に共通の趣味の友人を見付けられなかったトラウマのせいだと思う。いま自分が所有してる足穂作品は、ちくま文庫の『一千一秒物語 』を第1巻とする『稲垣足穂コレクション』だが、高校時代は別の版を所有し、共通の趣味の友人を作ろうと同級生に貸したら本は消え、同好の友人も出来ず、それはそれは悲しい話だ。

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