Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

『人間椅子』を読む ―アルマイトの栞 vol.74

江戸川乱歩の『人間椅子』を朗読劇で上演すると聞いて、出掛けてみることにした。今風の言葉なら「ドラマリーディング」である。しかし、何を思って「乱歩をドラマリーディング」となったのか。そして、よりによって『人間椅子』である。たしかに、『人間椅子』はただ「読む」ほかない作品である。なにせ物語の大半は「手紙」だ。読むよりないではないか。それで出掛ける前に『人間椅子』を読み直した。あらためて読んでみると、どうにもこの作品は妙だ。なんとなく読んでいた時には気付かなかったが、もしこの作品を舞台で上演するならばと考えると、妙なことが気になり始める。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

『3.10』とスポットライト ―アルマイトの栞 vol.73

鈴木一琥さん公演『3.10~10万人のことば』は二日間3公演の全てが満員御礼で楽日を迎えました。御来場頂いた皆さま、ありがとうございました。また、事前予約でほぼ満席だったため、当日券の発行をお断りせざるを得なかった方々には失礼を致しました。

限られた設備と環境の会場で舞台作品を上演する側に立つと、今さらながらに「はじめての理科」の様相になる。今回の舞台照明を頼まれて、ギャラリー・エフの照明器具を扱った当初、一琥さんをはじめ誰しもが口にしたことは「もっとピシッと明かりを絞れないかな」だった。備品の作品展示用スポットライトは光が拡がってしまう。それをどうにかして絞り込んだ輪郭の明かりに出来ないかと、アタマの中で連想ゲームを始めたら、「望遠鏡はどう?」と聴こえた気がした。「耳の中の小人が云うのね」などと騒ぎ出したら、ことである。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

か弱く繊細な公演会場 ―アルマイトの栞 vol.72

毎年この時期の恒例になったが、今年も舞踊家の鈴木一琥さん公演『3.10~10万人のことば』に参画している。今年からTetra Logic Studioは照明担当である。それでここのところ、ずっとその照明のことばかり考えているわけだが、諸々の条件ゆえに悩ましく、だからこそ愉しいのかも知れないと、倒錯した心理の中に浸りっぱなしである。つまりはアタマの中が少々混乱気味で、ときにはアナログTVの「砂嵐ノイズ」の中にでも居るような意識の状態である。「最近、どう?」などと人に尋ねられたなら、「調整中」と答えるしかない。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

大きくしたい気持ち ―アルマイトの栞 vol.71

あまりにも遅まきながらですが、今年もTetra Logic Studioを宜しくお願いします。そして年明けもまだ家政学院の授業があったりするので、ただでさえ寒い中を、さらに寒い八王子の方へと出掛けるのだけど、昨年から駅のホームに暖かい待合室が出来ている。他の駅でも見かけるようになったガラス張りの待合室だが、本気で「入ろう」と思うのは家政学院へ向かう時くらいで、それほど寒い場所なのだ。そんな「行きつけ」の待合室なのに、その外側のサインがまるで目に入っていなかった。ちょっと大き過ぎはしませんかね、この禁煙サインは。たぶんB全版のサイズだけど、これではかえって気付かれにくいのではないか。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

アンテナに訊き、人に訊く ―アルマイトの栞 vol.70

極めつきの方向音痴だと充分に自覚し、それを公言して憚らない自分なのに、またろくに地図も確かめないで出掛けて迷子になった。下北沢は危険地帯だ。学生の頃からうろついて、その度に迷子になった街なのに、同じことを何度繰り返せば気が済むのだろうか。事前に中途半端な地図の見方をしたのが更に宜しくない。「線路を挟んで本多劇場の反対側。近所に郵便局の在る場所」。一ヶ月ほど前にぼんやりと眺めた地図の、おそろしいまでに茫漠とした記憶だけだ。そんな状態で出掛けて行くのは無謀の極みだが、「いざとなったらアンテナに訊けばいい」と、ワケの解らない信念が背中を押した。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク