Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

チューニング用だが ―アルマイトの栞 vol.139

ソフトケースがホコリを被りっぱなしのエレキベースを、掃除したついでにチューニングしようかと思って、これもまた久しぶりのチューナを取り出したら、何やらチューナの様子がヘンだ。電池を交換しても、挙動が不可解で、もしかしてチューナが幻聴か耳鳴りに悩まされているのじゃないかと思う振る舞いをする。音叉を持ち出して、その音でチューナの様子を観察したが、これは何をしていることになるのか自分でもよく判らない行為だ。物差しを物差しで測っているのと同じで、何だか自分で自分が阿呆に思える。想像してみてほしい。部屋で一人、右手のチューナを見つめながら、左手の音叉で机や椅子を叩いて回る者が居るのだ。心配な人だ。

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長くする手口 ―アルマイトの栞 vol.138

本の奥付とか映画のエンドロールとか、何であれ「クレジット」の類を、ともすれば本編以上にジッと見つめる傾向があり、花輪和一さん『刑務所の前 』の奥付に表記された「消しゴムかけ=白石幹人(小学館)」などは気になって仕方がない。無闇と情報量の多いクレジットに惹かれる自分で、それゆえにYouTube公開の映像『半村良の空想力』は約24分の本編中、3分46秒がエンドロールになってしまい、自分でもどうかと思うが、更に今さら「出典に『不可触領域』を忘れた」と悔やんだりする。インタビューに登場する画家の岩永忠樹さんは、『不可触領域』の登場人物「岩永」のモデルだった。忘れていた。あと2秒、エンドロールを長く出来たのだ。誰も取り合ってくれそうにない悔悟である。

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PV ―アルマイトの栞 vol.137

音楽を売るために、楽曲に映像を加えた、いわゆる「PV」と呼ばれるものを最初に誰が作り始めたのか、詳しい事情は知らないのだが、少なくとも深夜のCDTVを観ている限り、演歌であろうとPVらしきものは存在し、それは当然のことのようになっているわけで、ふと素朴に考えたとき、誰が何を目論んで思い付いたのかと、どうも気になる。カウリスマキが監督した映画『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』に触発された誰かが作り始めたとか云う説が流布していたら、たぶん間違いなく「都市伝説」の類だ。ところで、「レニングラード」と入力すると、強制的に「サンクトペテルブルク」と修正変換したがるのを止めさせる方法はないのか。

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向こう側に居る一人 ―アルマイトの栞 vol.136

二人の会話だけで物語の殆どが進む話について考えを巡らせていたら、ベケットの『ゴドーを待ちながら』を思い浮かべたのは仕方のないことだが、そこに行き交う言葉の目指す先は、いつ読んでも不明だ。「こりゃなんだい?」「柳かな」「葉っぱはどこだ?」「枯れちまったんだろう」とか云ううちに、「だが、こいつはどっちかっていったら灌木じゃないか?」「喬木だよ」「灌木だ」と云い合いが始まり、しかし真っ当な結論に至らぬまま話題は変わる。どうしたことかと思う。もし、この二人の会話を物陰で盗み聞いたら、なんだか関わり合いにならないほうが好いのじゃないかと云う気分になりそうで、自分ならコッソリと立ち去る。

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コトバの使いみち ―アルマイトの栞 vol.135

連絡を寄こすたびに、こちらのことを電話相談室か何かと勘違いしているらしい知人が居る。「あのですね、歌舞伎役者とかの『襲名』って、英語で何て云うんですか?」。知らないよ。そもそも、英語圏の文化に存在しない事柄だとすれば、該当するコトバだって無い筈だ。とは云え、何の気無しに使っている日本語の、さもない表現ほど英語で何と云うのか知らないのも事実で、それはそれで知りたくもあり、講談社『これを英語で言えますか?』などと云う本が自宅の書棚に転がっているのは、そのせいである。けれども、この本の第1章に例示されている「逮捕令状です」「黙秘権があります」は、どんな読者を想定した結果なのか。この本で勉強してまで、英語圏で何をしでかす気だ。

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