方向音痴と劇場 ―アルマイトの栞 vol.25
方向音痴なんである、実は。これがちょっとやそっとのレベルではなく、もう半端ではない方向音痴ぶりである。駅から徒歩10分の筈である場所へ1時間掛けてたどり着いたなんてことは一度や二度ではない。子どもの頃からそれなりに馴染みのある筈の渋谷の街で、いまもって迷子になる。知らない土地へ行った日にはもう大変で、「初めてのおつかい~大人編~」が撮影出来るのではないかと思うほどの方向音痴ぶりである。自信満々で正しい方向と逆の方へ行ってしまう。それで、「自信のある方向とは故意に逆へ行く」と云う解決策を思いついてみたが、これがまた何故かホントに逆の方向なんである。こんな人間がよくもまあ建築なんて分野に片足を突っこんでいるものだと、自分でも感心する。