Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

喋りを記録したならば ―アルマイトの栞 vol.129

唾玉集―明治諸家インタヴュー集 (東洋文庫) 漠然と「記録」の名目で撮った気もする映像を、キチンとまとめたいと云う話が出た。「記録」と称して撮影された映像は、えてして誰も視ない。写真以上に、誰も視ない。だから、この話がデザイナーのKさんや、撮影してくれた映像作家の大津伴絵さんから出たことは嬉しい。それは某氏のインタビューや対談映像で、つまり「喋り」だ。それを面白く残す手法を三人で話していたら、平凡社の東洋文庫シリーズにある『唾玉集(だぎょくしゅう)』を思い出した。明治30年頃に、様々な職業の古老に取材した話を、口調もそのままに文字にしている。老刑事が語る。「それァ泥棒にも、一種の病気で他人の物が只何となく欲しくッて盗人をする奴もある」。奇書に相違ない。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

目指すパッケージ内容 ―アルマイトの栞 vol.128

あちらこちらへ届けている半村良さん関連の映像ディスクだが、じつはジャケットが無い。いまさら云うのもなんですが。一応は、人に渡すためのケースは有り、間違ってもディスクを剥き出しのまま届ける愚かなマネはしていないものの、ホントは「デザインされたディスクジャケット」に入れる筈だった。「デザインする」と公言した自分の怠惰以外に、「ジャケット無し」の理由はない。この期に及んでは、何を語ろうと云い訳にしかならないわけだが、悩んでしまっているのである、ケースの種類やサイズに。サンプルとして手許に集めたディスク用のケースを眺め続けて、たぶん二ヶ月近くになり、こうなると、優柔不断と云うより馬鹿者である。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

届けて回る ―アルマイトの栞 vol.127

どうにかまとめた半村良さん関連の映像を、協力してくれた方々に渡して回っている。全員に手渡しするのはどうにも難しく、申し訳無いです。「手渡し」を口実に遠方へ出掛けたい気持ちもあるものの、出向けるのは近所までで、むしろ発送作業が多くなり、手紙を添えてディスクを梱包し、せっせと送っている。何かの納品のような雰囲気だが、納品作業にしては効率の悪い自分で、「まとめて発送」ができないらしい。どれだけ郵便局へ往復すれば気が済むのか。自分は「郵便局ファン」なのか。自ら配達に回りたい欲求の現れとも思うが、自分は「郵便配達夫シュヴァル」のようになる恐れもある。「配達中に小石拾いに熱中し、小石で宮殿を建て始める」。それはマズイと思う。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

どこまでも暫定的 ―アルマイトの栞 vol.126

具体的にどうするか全く目算も無いまま、昨年の春頃に漠然と思い立ち、映像作家の大津伴絵さんと一緒に撮り溜めた半村良さん関連の映像を、ともかくも25分ほどの長さに編集してまとめた。大津さんと編集作業を進めつつ、仕上がる映像を見るたびに、「このシーンはもう少し手を加えたい」などと二人揃って口走り、放っておくといつまでも完成しない雰囲気なので、暫定版と呼ぶことにして作業に区切りを付けようと云う話になった。その暫定版に、よせばいいのに、また二人で手を加えた。暫定版2である。前の版よりホンの少しではあるが、質が上がった。すると、さらに欲をかく二人だ。暫定版3。ろくなものではない。二人揃って「大きい方のツヅラ」を選ぶタワケ者だ。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

相手になる話 ―アルマイトの栞 vol.125

英語であれ、日本語であれ、言語を外国語として習得するならば、「会話」は確かに有効な手段である。そのような「会話」の相手役を、月に1、2回で好いからやって欲しいと知人から頼まれた。そのくらいの頻度なら、まあ構わないかと思って引き受けた。引き受けて、気付いた。何を会話すれば好いのだ。「さあ会話しましょう」などと始まる会話を経験したことがない。そもそも他人同士の会話において、話が初めから終わりまで噛み合い続けることなど、ない。もしそんな状況があるとすれば、それは虚構の世界だ。いっそのこと、吉田戦車さんの『伝染るんです。』を台本にして会話するのはどうか。登場人物たちの会話は常にすれ違うが、じつのところ、日常会話とはそんなものだ。

続きを読む>>
雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク