Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

FPAPで気づいたこと ―発見する場所09

 良く地域と劇場の関係が大事だと語られることがある。
素直に言って、それは東京の人が東京以外の場所で仕事(整理、認識)をするために使われていて、地域の中だけで完結すれば良いとする考え方の延長でしかないと感じることがある。

最近、僕自身は都市全体の舞台芸術の場をどう生み出すかに関心があるので、その立場からは、この考え方はどうも違和感がある。もちろん地域のことを考える必要はある。だが、例えば仙台を考えた時に、仙台の演劇環境と札幌の演劇環境はどう違うかというような都市間の差異をそれ以上に意識する必要があると思っている。舞台芸術の場自体を公共劇場に集約していくことへの違和感もある。

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10年の時間 ―アルマイトの栞 vol.31

10年と云う時間はモノや人をどう変えるのかってことを、なんとなく考えたりするのである。「10年経過した劇場」とか「10年経過した喫茶店」とか、まあなんでも好いのだけど、ともかく10年で何が変わるのか、それとも変わらないのか。そもそも「自分の10年」はどうだ。「この10年」と「これからの10年」ではやはり同じではないだろう。「この10年」はと云えば、先ず丁度10年前に住む場所が変わったな。東京家政学院大学って場所でお世話になることにもなった。Tetra Logic Studioも作ったじゃないか。しかしこれらを含めて全てのことは自分の「これからの10年」を考えるための参考にならないように思う。全てが「予期せぬ事態」の連続だったからだ。

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取材の心 ―アルマイトの栞 vol.30

ともかく『STAGING』の連載原稿執筆は終わった。今回取り上げた「兵庫県立芸術文化センター」は執筆テーマとしてチョット難解なのではないかと危ぶんでいたのだが、いざ書き始めたらわりとすんなり筆が進んだ。何が「難解」だったのかと云うと、それは単純に僕が知らない土地にある劇場だからだ。今まで取り上げた「横浜にぎわい座」「シアターコクーン」「サントリーホール」は自分も馴染みの場所にあるから、取材に行く以前に土地に対する予備知識はある。「北上市文化交流センター」の回は少し悩んだな。何せ「地理」が苦手科目の僕で、酷いことに最初「北上」って云われたとき、「日本のどこ?」って思ったくらいである。北上市の人々には失礼極まりない執筆者だ。

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複製のリアル ―アルマイトの栞 vol.29

Tetra Logic Studioを作る少し前に、劇場の模型製作を頼まれたことがあった。ある日、世田谷パブリックシアターの技術部長であるMさんから電話があって、「演出家打ち合わせ用の劇場模型を作ってくれ」と云われたのが発端だった。僕一人では手に余るので、模型製作が得意な卒業生をかき集めた。卒業はしたものの、どう云うわけか世間をさまよっていた連中である。そんなヤツらが何人も居たのだ。困ったものだと思いつつも、この時ばかりはその連中の存在に感謝した。随分とリアルな模型を2ヶ月ほどで作り上げてくれたのである。「オマエらは機械なのか」と云う連中だった。

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インタビューと無口 ―アルマイトの栞 vol.28

5年ほど前から『STAGING』(ステージング)と云う、舞台や劇場に関する雑誌と付き合っている。連載原稿を書き、その一方でいろんな方々へのインタビューなどもしている。この秋に刊行予定の号の原稿締切が迫ってきたこの頃だ。今回は兵庫県立芸術文化センターの芸術監督で、指揮者でもある佐渡裕さんにインタビューをしたのだが、先ずはその内容を原稿にまとめるのを急いだ。いつもならインタビュー原稿の取りまとめはプロのライターで、速記もやってくださる曽根朗さんにお願いしているのだけど、今回は諸般の事情ってやつで、僕がやっている。小一時間のインタビュー録音を知人にテープ起こしで荒原稿にしてもらって、それを規定の文字数にまとめるわけだ。しかし7,000字の元原稿を4,000字弱にするって作業はかなりヤッカイである。

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