舞台美術を考えながら ―アルマイトの栞 vol.44

黒テントの『玉手箱』は既に立ち稽古や通し稽古が始まっている。僕も舞台美術のプランを練る宿題に追われたここ最近である。台本とは全く関係無いのだけれど、今回の美術プランを考えていた時にふと思い出したのは画家の金子國義である。「エロスの画家」である金子國義が1966年に澁澤龍彦訳で出版されたポーリーヌ・レアージュ作『O嬢の物語
』の挿絵を描いた。その絵を美術のモチーフにしようと思いついたのだ。それで、金子國義の画集などを広げて考えたりしているうちに、『O嬢の物語』そのものを読み始めてしまった。僕の手許にあるのは1992年に河出書房から出た文庫版で、残念ながらこれには金子國義の挿絵はない。表紙はフォンテーヌブロー派の『貴婦人たちの入浴』の一部が使われている。

4月1日の夕刻に、
自分もかつては「子ども」だったにもかかわらず、子どもってやつは観察対象として興味深い。この興味はどこから出てくるんだろうか。ある程度は自分自身の郷愁が重なっているのかもしれないけど、客観的に見ても「子ども」と云う生き物にはこちらの好奇心をくすぐる何かがある。いま『
