Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

読了できない場合 ―アルマイトの栞 vol.113

河出書房から刊行された文藝別冊『追悼 小松左京』は、執筆陣が驚くほど豪華だ。つい買ってしまうのは仕方が無いが、そもそも自分はそれほど小松左京さんの作品を読んでいない。むしろ、『日本沈没』を読み始めては途中で挫折した経験が十代の頃に幾度もある。しかも、なぜか必ず上下二巻の上巻まで読んで挫折するのだ。だから、『日本沈没』の上巻のラストシーンだけは無闇にハッキリと記憶している。何の自慢にもなりはしない。さいとう・たかをさんが劇画化した『日本沈没』は全三巻だったが、これですら二巻あたりで挫折した。原作の上巻ラストと同じ箇所だった。なにか、してやられたような気分になったが、つまり自分はいまだにベストセラー『日本沈没』の結末を知らないのである。

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ロケハンの人数 ―アルマイトの栞 vol.112

「ロケハン」と呼ばれる行為を目的に出掛ける場合、それはいったい何人くらいで出掛けるのが適正なのだろうかと考えながら、カメラを片手に一人で出掛けた。「それは散歩だよ」と云われそうでもあり、しかしそのコトバを否定できる程の強い反証材料も無い。「お散歩ですか?」と誰かに声を掛けられたなら、「はい」と答えておくのが無難と云うものだ。しかし、散歩中の者が、自分とは縁もゆかりもない見ず知らずのマンションにカメラを向けたりするだろうか。それは「不審者」なのではないかと、ファインダを覗きながら思った。咄嗟にアタマに浮かんだのは、「古いマンションを観て全国を歩くのが趣味なんですよ」と云うデタラメな台詞だ。

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