Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

42日間が空白 ―アルマイトの栞 vol.217

なぜ『月刊「ムー」2015年10月号』などを読んでいるのかと云うと、それは『月刊「ムー」2015年10月号』を頂いてしまったからなのであって、くださった人が何を目論んでいるのかは定かでなく、本誌の記事の中に、何か切実に知って欲しい事柄でも書かれているのかも知れないけれど、そうだとしても、どの記事なのか目次を見ただけでは自分に心当たりが無いので、すると、最初のページからキチンと読み進めなければならず、つい熟読してしまうのだったが、まさか、「別冊スペシャル付録 ヴードゥー魔術精霊のシンボル」をプレゼントしてくださったのだとしたなら、それでワタシにドウしろと云うのか。

ともかく、『月刊「ムー」2015年10月号』を熟読し始めたわけだが、『ムー』を熟読するのは、ことによると、中学生の頃を最後に途絶えていたような気がするから、なにかしら懐かしい気分に浸って、ホントに隅々まで熟読し、それはそれは熱心に、ページの片隅に掲載された怪しげな通販広告も一つ一つ丹念に目を通し、その熟読ぶりはチョット常軌を逸したと云うほかなく、よく子どもが漫画やゲームに夢中となって、親から呼ばれようが何も耳に入らず、何時間も何時間も集中してしまう状況に酷似しており、それは「没入」と呼ぶのが最も適切かと思われ、どれほどの「没入ぶり」かと云うと、アッ!と云う間に40日以上が経過していたのであって、この一ヶ月以上の世の中の様子を、自分は何一つ知らない。

いったい、『月刊「ムー」2015年10月号』の何が、それほどまでに自分を惹き付けたかと云うと、とにかく、写真などの図版がキレイで、自分が小学生から中学生の頃まで眺めていた『ムー』は、カラー写真も精度が荒く、4色のアミ点がハッキリ見えるような荒さで、そんな荒い精度の写真で見せられるUFOの姿や宇宙人の姿は、読者の側に強い「信仰心」みたいな気持ちでも無ければ、とてもUFOなどに見えるものでは無かったけれども、現在の『ムー』は相当に写真の精度が高くて、「UFOもクッキリ!」しており、写真の精度はキチンと350dpiを軽くクリアしている雰囲気に満ちているわけなのだが、そうなると、唯一、どうしても気になる事柄が立ち現れ、それは「いまだにUFOの形状が皿形と葉巻型だけだ」である。

「UFO」と呼ばれる物体が人々の間で噂されるようになって何年が経つのか知らないけれど、第二次世界大戦以降であれ、70年は過ぎており、その間に、月旅行も実現できない技術レベルの地球人が使う飛行機ですら、プロペラ機からジェット機へと進化していると云うのに、宇宙人ともあろう連中が70年もの間、乗り物の技術革新をやってる様子が無いのは、どうしたことか。怠慢じゃないのか、宇宙人どもは。と、そんな疑念を強く抱いた瞬間に、自分の意識が『ムー』の中へ派手に没入し、「米海軍が秘匿していた極秘資料が流出!!」と題されたUFOの写真を凝視していたら、42日間が空白のまま過ぎ去っており、きっと自分は、宇宙人に拉致され、記憶を消されて戻って来たに違いなく、まあ、そう云うことにしておいて欲しい。

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