Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

『新装大回転玉手箱』 ―アルマイトの栞 vol.57

090410.jpg

昨年の6月に舞台美術を頼まれた劇団 黒テントの『玉手箱』が再演である。再演と云っても劇作家の坂口瑞穂さんが台本を書き直した『新装大回転玉手箱』だ。それで今回も舞台美術を担当するのだが、今回は旅公演で全国を回り、東京公演は特設テント劇場を木場公園に建てることになって、そのテント劇場プロデュースもTetra Logic Studioでやっている。大変である。

実のところ、まだ改訂台本は手許に無いのだが、坂口瑞穂さんは書き直す度に本が長くなる人だ。そもそも今回に至ってはタイトルすら5文字長くなっている。昨年の初演でも、稽古期間中はもちろん、本番初日を過ぎてもまだ台本は長くなり続けたのだ。つい先日、今回の公演の打ち合わせで瑞穂さんと下北沢で会った時には「いま、書いてる」と云っていた。さらに長くなっているのではないかと問いただすと「ん、いや、そうでもないよ」と云うのだが、怪しいものだ。まあ、かなりわけのわからない舞台や映像作品に美術家として参加してきたので、今回もどうにかなるだろうと、まるで根拠は無いのだけど、ともかく稽古場へ出向くのを待っている。「新装大回転」と銘打っているのだから、「新装」で「大回転」をさせなくてはいけないのだろうか。どうすればいいのだ、それは。

もう随分以前のことだが、ある劇団から舞台美術の依頼を受けて、いろいろ打ち合わせをしていたら、そこの劇団主宰者で劇作家・演出家でもある人から突然「ユキさん、出演もしてくれませんか」と云われた。何を云い出すのかと思った。自分の身体まで美術の一部として提供するほどのアヴァンギャルドな美術家だとでも思われたのだろうか。ローリー・アンダーソンではないのだ。断りましたよ、もちろん。そのせいかどうかは知らないが、その芝居は上演に至る前に企画倒れになってしまった。

『新装大回転玉手箱』がどれほど「新装」で「大回転」なのか、タイトルだけで勝手な妄想をしても好いものか、役者の人数以上の登場人物が設定されていて、演じる役者が「大回転」になりはしないか、そのドサクサに舞台に上げられたりはしないか、とにかくフタを開けてみなければ判らないのである。それで「玉手箱」なのか。落語だったらきれいなサゲですね。

皆さん、是非とも公演会場へ遊びにいらしてください。

雑記 | comments (0) | trackbacks (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

Comments

Comment Form

Trackbacks