映し出す光と映し出される風景(1/2) ―発見する場所06
場との対話01 雪原の古民家を使った映像制作イベントin 会津(前編)
先月の3月23日-24日に、南会津郡只見町で、JIA福島の地域会「場との対話01 雪原の古民家を使った映像制作イベントin会津」において、テトラロジックスタジオがはりゅうウッドスタジオと共同してイベントのプロデュースと映像制作を行いました。
このイベントでの試みとイベントを通して感じたことを2回に分けて語ってみようと思います。
前編では、主にこのイベントでの狙いや試み、当日の様子について語ってみます。
3月の只見。暖冬とはいえ1階がすっぽり埋まる程の雪に囲まれた今井邸が今回の対話の場だ。 今井邸は、正確な年代はわからないがここで家具工房を営む今井さんのお話だと、250年以上は前の古民家だということ。柱、梁等の住宅の様々な部分が、その時間を彷彿とさせる。
今回のイベントの目的は二つ。 一つは、地域の建築家が、ある意味地域に住む究極な形の一つとして語ることができる今井さんの暮らしを通して、地域や場について考えるきっかけを持とうというもの。 参加者の皆さんは、道無き道をかんじきを履いて1時間以上かけて歩き、その過程も含めていろいろなものが削ぎ落とされた風景を実感したようだ。 もう一つは、この今井さんの暮らし様々な場の光を一つの映像として捉えていこうとするものだ。 この光は、雪原と化した毘沙沢の古民家に降り注ぐ自然光、今井さんが作り出す家具の光、薪ストーブの生活の光。
そして、それらの日常的な光とともに、新しい光を入れることにより違った風景に作り替えることで、
その場の「素」を浮かび上がらせようと言うものだ。
一見するとそれは単なるライトアップなのだが、用いた手法は普通のライトアップの手法とは少し異なる。
通常ライトアップでは、例えば住宅やカフェなどを明確に映し出すあるいは浮かび上がらせるなどのあくまで建築が主で、ライトのスペックが決定される。
多くは、拡散光を主体として、視覚的にどのように映るかが検討される。
今回のプロジェクトでは、この視覚的にどう映るかと言う点を、映像としてどのように映るかに、 そして、通常電源も今井邸の電源を用いて、徹底的に仮設的な設えでどこまで、日常とは違った 風景がつくり出せるかを狙ったのである。
具体的には、舞台照明用のパーライトを主体に、作業灯や直火などを組み合わせながら、 幾つかの場面をつくり出した。実際には幾つかの画像をご覧頂ければと思います。 そしてこの素材をもとに、現在映像を制作中です。
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